内容説明
チューリングのエニグマ攻略が大戦を終わらせ、世界が冷戦へと向かう頃、コンピュータ開発競争が熱を帯びた。彼の頭脳もその一角を占める。はたして勝利は誰の手に? さらに彼は動植物の形態研究にも踏み出していく。だが新しい活躍の一方、人生は時代に翻弄される。これは悲劇なのか? 非業の最期まで、著者ホッジスはチューリングの時間に寄り添い続ける。
目次
架け橋
II 物理的なるもの
5 助走
6 水銀の遅延
7 グリーンウッドの木
8 渚にて
後記
著者注記
原注
謝辞
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マリリン
28
本書に度々登場するチューリングが感動したというオーウェル『一九八四年』、若い同性愛者のアーノルドと出逢った事がきっかけで、道徳的堕落という犯罪記録が残され「治療」を受ける事になる。エニグマの解読という偉業を成し遂げたものの、時代背景が彼を歴史の記憶の底に沈めたという印象を持った。その死は暗示的な自殺とされているが「治療」がきっかけで表面化した母親への感情、自らのアイデンティティを抹殺されたかのような出来事...チューリング自身の言動は奇怪で明らかに常識を逸脱している感はあるものの、時代が違ったらという→続2020/03/23
はまななゆみ
15
とても読み応えがある伝記でした。AI、コンピューターと脳の優劣等が真剣に議論されるようになった現在、その可能性を数十年前にインターネットもなかった時代に提唱していたチューリング。タブーだった同性愛、それも関連?して自殺したチューリング。天才がゆえの宿命みたいなものがあったんでしょうか。2016/02/05
GASHOW
9
アランチューリングがアインシュタインやグラハムベルよりも知名度が低いのは、性的マイノリティーだったからのようだ。人類に功績を与えていてもキリスト教文化でのマイノリティは罪だったようだ。歴史は知識の積み重ねというが、ごく稀に現れる天才によって作られている。彼の人生は物悲しい。2018/01/22
やす
8
10年近くぶりに後半を読む。暗号解読の華やかな時代は終わりあとは悲惨かと思い読まなかったのだけれど、なんと計算理論の開祖チューリングはその後コンピューターの開発をしていたのだった。まあ、あまりうまくはいかなかったようである。暗号解読時にはハードウエアへの関心も高かったのだが原理を開発した後は関心を失い興味は別のところへ。 そう、機械は知性を持てるかというチューリングテストの話。模倣ゲームとして長々と説明が展開されるけど一貫性がない。この分量を語るならもう少し系統的に書いてほしい。2024/11/09
maya
2
※別アカウントより移行。本書に度々登場するチューリングが感動したというオーウェル『一九八四年』、若い同性愛者のアーノルドと出逢った事がきっかけで、道徳的堕落という犯罪記録が残され「治療」を受ける事になる。エニグマの解読という偉業を成し遂げたものの、時代背景が彼を歴史の記憶の底に沈めたという印象を持った。その死は暗示的な自殺とされているが「治療」がきっかけで表面化した母親への感情、自らのアイデンティティを抹殺されたかのような出来事...チューリング自身の言動は奇怪で明らかに常識を逸脱している感はあるが、→続2020/03/22
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