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内容説明
新型コロナウイルス禍がもたらす経済停滞、主要IT企業による世界支配、米中を軸にした新冷戦、一強状態の政治……新不確実性の時代の今こそガルブレイスの「異端の経済学」を! 1970年代、アメリカの経済学者、ジョン・ケネス・ガルブレイス(1908~2006年)が書いた『不確実性の時代』は世界的なベストセラーとなった。とりわけ日本で大きな人気を博したこの本は、恐慌、冷戦、大企業・多国籍企業による支配、貧困問題などを根拠に当時を「不確実性の時代」として定義した。数十年が経った今も、これらの問題には解決策が見出されず、深刻さを増すばかりである。『不確実性の時代』同様の性格をもつガルブレイスの他の著書『満足の文化』『ゆたかな社会』『新しい産業国家』なども丹念に読み解き、現代の難問へのヒントを見つける。「新不確実性の時代」とも言える今こそ、ガルブレイスを読みたい。
目次
序章 ガルブレイスはなぜあれほど人気があったのか
第1章 揺らぐ「拮抗力」
第2章 誤解された『ゆたかな社会』
第3章 大企業体制の光と影
第4章 「公共国家」は実現しうるか
第5章 軍産複合体の脅威
第6章 「満足の文化」への警鐘
第7章 『バブルの物語』の教訓
終章 甦るガルブレイス
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐藤一臣
8
経済学書は難しい。1950年代のアメリカは物質上の豊かさを誰もが享受できた幸せな時代だったようだ。日本の場合だと1960年代の高度成長期かな。国家のGDP成長率を指針とする政治運営は「新しい階級」の登場によって変わるようだ。新しい階級とは仕事に金ではなく優越感を持つ者だそうだ。この階級は世襲されると言うが、それは遺伝の垂直移動だけを見ているのだろう。生物の進化はそれだけではなく水平移動が大きな影響を与えているはず。大企業の計画化体制依存が問題と論じているが、まさに新しい階級がそれを変えるのではないかな2022/07/08
K
3
時間を空けて読んでいたので中身に関してはうろ覚え甚だしい。「バブルの物語」を読む上で前知識は欲しいと思ったので読んでみたが、「金融に関する記憶は極度に短い」の一言で全て答えが出てしまった。2025/02/24
Kooya
3
制度派経済学者・ガルブレイスの思想を解説した本。『ゆたかな社会』をはじめ現代社会に深い洞察を与えた著作の内容を適宜引用しながら、リベラリズムを信奉した彼の足跡を辿っていく。消費欲望を満足させる過程自体が消費欲望を生み出す事象を「依存効果」と定義し、その弊害を指摘したことは、ブランド品等を頻繁に購入(注:本当に心の底から欲しいとは限らない)し、それを保有している自分自身に優越感を抱く見栄っ張りな人間の存在を踏まえると、全面的に共感できる。(コメント欄へ続く)2023/10/15
デンプシー
3
経済学者らしからぬ経済学者であるガルブレイスの考えは、刺激的だった。特に印象に残ったのは二点。①彼は広告が社会的アンバランス(民間と公的部門の資源配分の不均衡)を生み、環境問題を始めとする社会問題を引き起こすと考えたが、これには共感できる。②彼の「満足せる多数派」の話はオルテガの「大衆」に通じる部分があって面白かった。ただ現在は、「満足に与れない人々」ではなく「満足できなくなった人々」が「暴力的反応」を(は言い過ぎかもしれないが、トランプ現象)招来した印象があり、この点では少し時代が進んだと言えよう。2022/11/17
Iwata Kentaro
3
門外漢なので、読了するのにとても時間がかかってしまった。後半はわりと楽しく読めたが前半の中身を完全に失念するレベル。再読必須。著者の根井雅弘の本は初めてだが文体が敬愛する森嶋通夫に似ていて楽しかった(どなたにも失礼になっていないことを願う汗)。2022/02/09