内容説明
海岸通りでひときわ目立つ三色の建物は、海産物問屋の同順泰公司である。ここの3階にある干し場で、コックの杜自忠が殺された。出入口2ヵ所には家人がいたのに、全然気付かぬという。杜の人生は苦難に満ちていた。公司の主人の親友である陶展文の鋭い推理と調査が始まる。神戸を舞台にしてのびやかに描く長篇推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
UPMR
1
トリックはしょぼいが、真犯人の動機や中盤の沖仲仕の失踪に関連した伏線の張り方は秀逸。謎の兄貴の正体は予想通りすぎた上、ストーリーには煙幕的な絡み方しかしていないのは肩透かしか。陶展文が女中から打明け話を呆気なく聞くことができてしまうなど関係者から不思議と一目置かれがちなのも少しご都合主義。デビュー作で、人生観に根ざした動機の描写に長けた作家だと思っていたが、本作ではそこまででもなかったというか、他の容疑者についてはそういう性格分析が結構面白く披露されたのに真犯人にだけは特になかったので片手落ち感があった。2025/03/16
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