内容説明
歴史の要点は、政権(王朝)の興亡にある。どのような人物が王朝をたて、どう政治をしたか。有徳と暴虐の交替、文化の差が政権を変える有様を、明快平易に語る史書。三皇五帝の神話時代から、祭政一致の神意国家、地方分権の封建制社会、秦の始皇帝による天下統一。再びの動乱、隋による再統一まで。<上下巻>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
26
伝説の夏王朝から三国時代まで流れを解説。非常に読みやすかった。これは後にこういう故事になったとか、悪女という風に記録には残っているが実際をそれほどでもなかったなど著者なりの解釈も織り込まれている。また、一つの政策、政治体制が持つ良い側面、悪い側面も冷静に評価している。2018/08/26
Willie the Wildcat
23
神話、栄枯盛衰、社会制度、産業・・・。広大な大陸の中、人心掌握・育成の難しさ、政治などの仕組みの未熟さが、時に表れる名君・名参謀を飲み込む。一方、孔子、司馬遷等の功績は現代にも続く。戦国。肉親間の殺戮、欲、策略・裏切りなどの「負」と、産業や技術の発展といった「正」の対比。王朝変遷毎の”脚色”は少なからずあったとは推察するが、史実編纂の重要性を再認識。とはいえ、年表がないのがつらい・・・。(汗)まぁ、時間と手間はかかるが、ネットの年表を活用し、人物名を照らし合わせながら愉しみましょう!2013/07/18
崩紫サロメ
20
実は読んでいなかったことに気付いて。神話時代から隋まで。案外(?)神話時代の叙述が面白かった。というのは、神話をどの学者がどのように解釈してきたか、ということを紹介している。歴史学の本ならばそれが当たり前なのだが、陳舜臣のわかりやすい説明で神話から古代にかけての史学史(といっても20世紀半ばまでになるが)を辿れるのは得をしたような気分。春秋戦国以降、史学史パートは減っていくが匈奴に関するラクペリーの学説を紹介するなど、『小説十八史略』とはまた違った角度で描かれていて興味深い。2022/06/30
糜竺(びじく)
12
とても明快平易な文章で読みやすかったです。上巻は古代中国の三皇五帝の時代から、隋(西暦600年頃)の時代までの中国の歴史の流れが分かりやすく書かれています。コンパクトにまとめられてるけど、著者のハンパない知識量はヒシヒシと伝わってきます。中国のこれまでの歴史の大体の流れを把握するのに、この本は最適の書だと思います。2013/03/29
鮭
8
個人的には同氏の「中国の歴史」シリーズより好き。上下巻だけど、よく纏まっている。最初の神話の部分は興味がないとやや苦しいが、中国の起源や殷と周の違いがよくわかる。後半の五胡十六国時代と南北朝時代は相変わらずのカオスさで興味深く読める。前秦に世界帝国である隋唐の萌芽を見出だすのは面白い。 2019/08/03