ハヤカワ・ミステリ文庫<br> ブート・バザールの少年探偵

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ハヤカワ・ミステリ文庫
ブート・バザールの少年探偵

  • ISBN:9784151845512

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内容説明

インドのスラムに住む、刑事ドラマ好きの九歳の少年ジャイ。ある日クラスメイトが行方不明になるが、学校の先生は深刻にとらえず警察は賄賂無しには捜査に乗り出さない。そこでジャイは友だちと共に探偵団を結成しバザールや地下鉄の駅を捜索することに。けれど、その後も続く失踪事件の裏で想像を遥かに超える現実が待っていることを、彼はまだ知らなかった。少年探偵の無垢な眼差しに映る、インド社会の闇を描いた傑作

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひろし

106
少年探偵という題名に惹かれ、貧しいながらも冒険して成長していく主人公を漠然と思い描いていたが、なかなかどうして、内容はバリバリの社会問題描写のノンフィクション系。インドのスラムで生活する9歳の男の子が主人公で、貧しいなりに幸せに生活していたが、周りの子どもが次々にいなくなっていく事件を解決するため、主人公は探偵の真似ごとを始める。謎解き要素はあまりなく、スラムの実体が住居の様子、仕事、人間関係、宗教対立などリアリティを持って分厚く語られ続ける。インドでは毎日180人の子どもがいなくなっているそうだ。2023/09/05

オーウェン

61
インドのスラム街で連続して起きる子供の誘拐事件。 警察も教師も取り合わないため、9歳のジャイは憧れている刑事ドラマ同様に、友達と捜索に向かう。 インドの現状が如実に表れている話であり、毎日180人が行方不明になっている現実。 その中で事件は想像を超える展開。 事件の犯人が誰かという状態ではなく、事件そのものが持つ闇が浮かび上がっていく構成。 ラストは何とも言えぬ気分になる。 単純に悪いともいえないし、やはりインドという国が持つ影がまざまざと感じられる余韻。2021/09/21

Sam

43
2021年エドガー賞受賞作。著者はインド人。子どもたちが探偵となって活躍するという意味でクレイグ・ライスの「スイートホーム殺人事件」のようなミステリーかと思いきや全く別物。まず、これミステリーじゃないです。そういう意味では期待外れ。また、時代背景的に「スイートホーム殺人事件」における古き良きアメリカのような牧歌的な世界とは全く無縁で、児童誘拐や貧困、大気汚染、さらには宗教対立といったインドの現実を描いた非常に重い物語。主人公である少年探偵ジャイの純真さや家族・友人たちとの強い絆が作品の救いになっている。2021/09/05

小太郎

41
インドのスラムに住むジャイが主人公。ジャイの友人バハードゥルがある日行方不明になるけど、先生や警察はまともに取り合ってくれません。そこでジャイは友達と一緒にバハードゥルを探すことにしますが・・・癖のある文章や視点が変わるので少し読み辛いとこもありますが、今のインド社会、それも底辺のスラムをこれほどリアルに描いた小説は初めてです。インドでは毎日180人の子供が行方不明になっているそうですがジャイの目を通したインド社会の矛盾や腐敗がまことに凄まじい。でもただ悲惨なだけじゃない物語の強さを感じました。2022/11/11

しゃお

37
ポップな感じの表紙に少年探偵という言葉から楽しそうなイメージが。殆ど知らないインドの風俗も知る事ができつつ、行方不明になったクラスメイト達を自分たちで捜そうとするジャイの純真で身勝手ともいえる姿は子供らしく、あくまで明るく描かれ、少年探偵の活躍の果てを楽しみに読んでいました。ところが勝手に抱いていたイメージと違い、スラムに生きる人々の現実、貧困や差別、暴力に劣悪な環境などリアルな現実に押しつぶされそうに。それでもジャイが見上げた星に感じたように彼らが強く生きる事を願い、そして祈らずにはいられませんでした。2021/06/18

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