内容説明
“1982年。
台北のカフェ、明星珈琲館で
私はこの人と出会った――。”
『恋恋風塵』『悲情城市』など、
不朽の名作の数々を侯孝賢とともに創り上げてきた
女流作家、朱天文が描く
「台湾映画がもっとも輝いていた、あの日々」
台湾ニューシネマのミューズによる、珠玉のエッセイ集。
侯孝賢と歩んだ台湾ニューシネマ時代/写真が語るあの時 この想い/侯孝賢を語る・侯孝賢と語る
解説 宇田川幸洋
カバー写真・撮影 エドワード・ヤン
十一月二十七日の早朝、私は侯さんと基隆〈ルビ:キールン〉路と辛亥〈シンハイ〉路の交差する十字路で待ち合わせ、脚本を手渡した。侯さんはレンガが残る道の路肩でバイクを停め、脚本を受け取って、そのまま役者の衣装合わせの写真撮影に向かった。急に寒くなったあの日、侯さんは長袖のシャツの上にカーキ色のアーミーベストを着ていた。ラッシュアワーの車の流れは絶え間ない。彼は横断歩道を渡ってバイクのところに戻っていく。アーミーベストが風をはらみ、帆のようにパンパンにふくらんだ姿が車の流れを縫っていく ――本文より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bo-he-mian
16
本書は、'80〜'90年代にかけて台湾ニューシネマを担った監督のひとり、ホウ・シャオシェンの作品のほとんどの脚本を担当した女性作家チュー・ティエンウェンによるエッセイ集。いわゆる回想録ではなく、当時に彼女が文芸誌などに綴った文章を集め構成したものなので、その時代の息吹が直に伝わって来て、読んでいて胸が熱くなる。もちろん、チュー氏の本業は小説家なので、筆致はあくまで冷静沈着で決して感情的ではないが、台湾映画界に何か新しい波が起きている、その真っ只中で仕事をしている高揚感がひしひしと伝わってくる。2024/09/13
鷹ぼん
4
ちょうどシネ・ヌーヴォで侯孝賢大特集が上映されている。上映作品の多くに朱天文が携わっている。鑑賞の予習復習、参考資料としても役立つ一冊だったが、それ以上に台湾ニューシネマが輝いていた時代の風を存分に感じることができる。これまで気づかなかったことなどが、これを読むことで見えてきたりもして、視点を変えて作品を観ることもできた。ページが進むつに連れて、朱天文が台湾ニューシネマのキーパーソンの一人であったことも再認識できた。抑え気味の訳文により、朱天文の声を聞いたことがないのに、彼女が語っているかのように読める。2021/07/17
Mitsuhito Shiraha
1
候孝賢が時代によって進化し地位を確立して行った作家だったのに対し盟友・楊德昌(エドワード・ヤン)は突出した才能だった事が分かる。 青春期と戒厳令時代の台湾を描く事を経た「その後の候」についてインタビューで分析されているが、正直その作品群は芳しいとは思えない。やはり優れた映画と時代の高揚は密接である。「戀戀風塵」はエバーグリーン、青春映画で恋愛映画の最高峰だ。2025/02/12
ロックスターKJ
1
評価:★★★☆☆ 3点 侯孝賢の特集上映で何本か観たのにあわせて読んでみた。侯孝賢の映画の撮り方も興味深いし、日本との関係も面白い。2021/05/29
をとめ
0
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