文化浸透の冷戦史 - イギリスのプロパガンダと演劇性

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文化浸透の冷戦史 - イギリスのプロパガンダと演劇性

  • 著者名:齋藤嘉臣
  • 価格 ¥6,270(本体¥5,700)
  • 勁草書房(2021/04発売)
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  • ISBN:9784326302246

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内容説明

文化交流は単なる相互理解の手段とは限らない。国家の文化発信は非政治的な外套をまとっていても、そこには権力性がつきまとうものだ。文化外交はつねに「観衆」を意識し、かれらの心をとらえようとする。まるで、芝居が演劇で上演されるように。本書は、戦後イギリスのプロパガンダを検討し、演劇としての国際政治を描くものである。

目次

目次
はじめに

序章 冷戦・プロパガンダ・演劇性
 1 文化とプロパガンダ
 2 演劇のパラダイムと冷戦
 3 本書の構成

第1章 労働党政権と対ソ政策の模索――路線対立の止揚と冷戦コンセンサスの成立
 1 労働党政権と戦後の国内世論
 2 反共プロパガンダをめぐる政府内対立
 3 「第三勢力プロパガンダ」構想の模索
 小括――労働党政権と冷戦コンセンサス

第2章 戦後ヨーロッパと同盟の文化的基盤――「イギリスの投影」から「同盟の投影」へ
 1 「第三勢力」の文化的基盤
 2 西欧におけるイギリスのプロパガンダ
 3 大西洋同盟の文化的基盤
 小括――戦後ヨーロッパと西側のプロパガンダ装置

第3章 対ソ文化発信と表象の政治学――文化的な広報誌の政治的な帰結
 1 モスクワの『ソユーズニク』
 2 英ソ関係の変化と広報誌
 3 『ソユーズニク』廃刊をめぐる政治力学
 小括――「イギリス」表象と言説の政治学

第4章 東欧の共産化と補完するプロパガンダ――BC、BBC、大使館の役割分担
 1 東欧の共産化と文化的プロパガンダの模索
 2 東欧におけるBCの文化交流活動
 3 東欧における広報誌の発行
 4 BBC東欧放送と政府・BBC関係
 小括――補完しあうプロパガンダ

第5章 ヨーロッパ統合と亡命者プロパガンダ――亡命者のヨーロッパ統合運動と冷戦
 1 ロンドンの亡命者組織とイギリス政府
 2 ロンドン東欧会議
 3 イギリス政府の協力と管理
 小括――言説としての「ヨーロッパ」

第6章 国内冷戦と「抱擁」関係――政府・市民社会の密接な関係
 1 IRDと国内プロパガンダ
 2 教会・知識人と冷戦
 3 国内プロパガンダへのアメリカ政府の関与
 小括――イギリスの国内冷戦と「抱擁」関係

第7章 社会管理体制と「規律」の作用――文化攻勢の波とソ連関係委員会
 1 スターリンの死と文化攻勢の波
 2 英ソ文化交流に対する管理の模索
 3 ソ連関係委員会(SRC)設立と反応
 小括――浸透する共産主義文化と「規律」の作用

第8章 啓蒙とスペクタクルの文化交流――英ソ文化交流の政治学
 1 文化交流の隘路――英ソ間の交流哲学の根本的相違
 2 政治的言説としての「情報の自由」
 3 交渉の年、一九五九年
 小括――プロパガンダの舞台としての文化交流

終章 冷戦の演劇性とその後
 1 冷戦と演劇性
 2 一九六〇年代の文化浸透
 3 IRD解体・文化浸透・冷戦終結

あとがき
主要参考文献
人名索引
事項索引

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