内容説明
文化交流は単なる相互理解の手段とは限らない。国家の文化発信は非政治的な外套をまとっていても、そこには権力性がつきまとうものだ。文化外交はつねに「観衆」を意識し、かれらの心をとらえようとする。まるで、芝居が演劇で上演されるように。本書は、戦後イギリスのプロパガンダを検討し、演劇としての国際政治を描くものである。
目次
目次
はじめに
序章 冷戦・プロパガンダ・演劇性
1 文化とプロパガンダ
2 演劇のパラダイムと冷戦
3 本書の構成
第1章 労働党政権と対ソ政策の模索――路線対立の止揚と冷戦コンセンサスの成立
1 労働党政権と戦後の国内世論
2 反共プロパガンダをめぐる政府内対立
3 「第三勢力プロパガンダ」構想の模索
小括――労働党政権と冷戦コンセンサス
第2章 戦後ヨーロッパと同盟の文化的基盤――「イギリスの投影」から「同盟の投影」へ
1 「第三勢力」の文化的基盤
2 西欧におけるイギリスのプロパガンダ
3 大西洋同盟の文化的基盤
小括――戦後ヨーロッパと西側のプロパガンダ装置
第3章 対ソ文化発信と表象の政治学――文化的な広報誌の政治的な帰結
1 モスクワの『ソユーズニク』
2 英ソ関係の変化と広報誌
3 『ソユーズニク』廃刊をめぐる政治力学
小括――「イギリス」表象と言説の政治学
第4章 東欧の共産化と補完するプロパガンダ――BC、BBC、大使館の役割分担
1 東欧の共産化と文化的プロパガンダの模索
2 東欧におけるBCの文化交流活動
3 東欧における広報誌の発行
4 BBC東欧放送と政府・BBC関係
小括――補完しあうプロパガンダ
第5章 ヨーロッパ統合と亡命者プロパガンダ――亡命者のヨーロッパ統合運動と冷戦
1 ロンドンの亡命者組織とイギリス政府
2 ロンドン東欧会議
3 イギリス政府の協力と管理
小括――言説としての「ヨーロッパ」
第6章 国内冷戦と「抱擁」関係――政府・市民社会の密接な関係
1 IRDと国内プロパガンダ
2 教会・知識人と冷戦
3 国内プロパガンダへのアメリカ政府の関与
小括――イギリスの国内冷戦と「抱擁」関係
第7章 社会管理体制と「規律」の作用――文化攻勢の波とソ連関係委員会
1 スターリンの死と文化攻勢の波
2 英ソ文化交流に対する管理の模索
3 ソ連関係委員会(SRC)設立と反応
小括――浸透する共産主義文化と「規律」の作用
第8章 啓蒙とスペクタクルの文化交流――英ソ文化交流の政治学
1 文化交流の隘路――英ソ間の交流哲学の根本的相違
2 政治的言説としての「情報の自由」
3 交渉の年、一九五九年
小括――プロパガンダの舞台としての文化交流
終章 冷戦の演劇性とその後
1 冷戦と演劇性
2 一九六〇年代の文化浸透
3 IRD解体・文化浸透・冷戦終結
あとがき
主要参考文献
人名索引
事項索引
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