ちくま新書<br> 養老孟司入門 ――脳・からだ・ヒトを解剖する

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ちくま新書
養老孟司入門 ――脳・からだ・ヒトを解剖する

  • 著者名:布施英利【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2021/03発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480073747

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内容説明

「脳」「からだ(人体)」「ヒト」をめぐって「生きるとはどういうことか」を問い続けてきた解剖学者・養老孟司の代表的著作を読みなおし、その探求・思想の世界を一望する。「脳より大切なものがある」、「塀の上を歩け」、「あたりまえ」の本質、「無思想」という思想、「ヒトとはなにか?」……知的刺激に満ちた数々の至言とともに、東大医学部解剖学教室からの愛弟子である著者が、各著作が書かれた当時のエピソードも交え評伝風に語る。一冊でわかる、養老孟司のすべて!

目次

序章──一九八五年
脳より大切なものがある
最後の解剖学者
書き下ろしの著作を読み解いていく
第一章 『形を読む』──一九八六年
生物の形態を読み解く四つの視点
「数学的・機械的な見方」とは
「機能的な見方」とは
「発生的な見方」とは
「進化的」な見方とは
「重複と多様性」とは
相同と相似
自己と対象
「形態の意味」とは
見方を統一する
第二章 『唯脳論』──一九八九年
『唯脳論』を連載していた頃
現代は、要するに脳の時代だ
ヒトの脳の特徴は「交換」である
お金と言語は、同じもの
運動系が「目的」を生んだ
意識とは「脳を知る脳」のこと
心と脳と体の関係
死体とは、都市に残された最後の自然である
第三章 『解剖学教室へようこそ』──一九九三年
解剖学教室へようこそ
そもそも解剖とは
解剖には何カ月という長い時間がかかる
解剖に使う死体は、どこから来るのか
誰が解剖を始めたのか
人間と機械は、どこが違うのか
第四章 『考えるヒト』──一九九六年
「塀の上を歩け」とは
脳が脳をわかるか?
「脳と心は違う」のか
入力から出力へ
脳への情報入力
脳からの情報出力は「筋肉」のみ
世界像を構築する
意識について考える
「無意識」とはどういうものか
「たまには人間の自然を考えなさい」
口笛吹いて去る姿
第五章 『バカの壁』──二〇〇三年
本を書くことの「一種の実験」
われわれは自分の脳に入ることしか理解できない
「共通了解」と「強制了解」
個性が大切だというのは話がおかしい
「知る」と「死ぬ」
「情報は変わらない」とは
ピカソは、どのように天才か
利口とバカは少数派
お金の話は、脳の話である
「私の考えは、二元論に集約されます」
「自分の壁」を超える
第六章 『無思想の発見』──二〇〇五年
そもそも「自分」なんてものはない
だれが「自分」を作るのか
「世界中どこに行っても通用し、百年経っても通用する」もの
「私の心」とは、私だけのものなのか
「思想なんてない」という思想
般若心経とつながる
二人の解剖学者、三木成夫と養老孟司
第七章 『遺言。』──二〇一七年
自発的「書き下ろし」本
絶対音感
感覚所与とは
養老式二元論の図式
「イコール」があるか、ないか
民主主義と脳
時間の中での「同じ」
不死へのあこがれ
デジタルは死なない
ヒトはなぜアートを求めるのか
終章──二〇二〇年
養老孟司の著作一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

86
東大解剖学者時代から養老孟司の弟子として30年以上の付き合いのある著者が、ご本人に確認して書き下ろし本を7冊取り上げ、それを辿ることで彼の思索の行き着く先を読み解く入門書。彼の人間観は「脳化」であり、ヒトは視覚と聴覚を同じものとして交換可能にし、アウトプットとして言語を生み出した。現代は江戸時代から始まる脳化の時代であり、お金も民主主義もそこから生まれた。一元論の危険性を警鐘し、塀の上を歩くことの大事さを説く。芸術は数学の対極、違いの追求。「養老式の二元論。デジタルもことばも不死だ。ゼロと一の間のアート」2021/04/25

keroppi

69
図書館の新刊コーナーで見つけて。養老孟司の主な著作を読み解く。養老先生の弟子である著者は、先生との様々なエピソードも織り込み人間・養老孟司を描きつつ、その探求の世界を分かりやすく解読していく。解剖学から脳の話、そして意識、思想、社会、果てはアートまで。実に刺激的な本だった。この著者は、東京藝術大の大学院の時、恩師・三木成夫の紹介で養老先生と出会ったそうである。芸術と解剖学の関係が私の脳に響く。養老孟司の著書も読みたいが、この本の著者・布施英利の他の著書も、三木成夫の著書も、とても読みたくなってしまった。2021/04/09

tamami

48
250冊を越える養老孟司先生関連の著作から、書き下ろしを中心に7冊を選び、直弟子である著者が解説を加えた「養老孟司」入門の書。養老先生の本からは、『バカの壁』を始めとして沢山のことを学ばせてもらったが、本書を読むと、自分が如何に浅い読みに止まっていたかを思い知らされる。読書に正解の読み方はないというが、「意識」というような概念一つとっても、納得がゆく見方が示されていて、本書を導きとしてもう一度養老本に挑戦してみようかと思う。殊に初期の主要著作である『唯脳論』は、繰り返して読むに値する本であると思う。2021/03/21

三井剛一

11
養老孟司の著書を読んでも、理解が至らず手に取った一冊。 養老孟司の助手をしていた著者が5冊選出し、解説、整理している。 さらに奥深い思索が見え、底がつきない。理解が進むどころか、自分の読解力のなさから、逆に混乱してしまった。 ヒトには、「イコール」「同じ」と認識する機能があり、そこから文明が始まったのには納得。 脳科学の発達による脳至上主義に警鐘を鳴らし、自然、無思想、感覚、身体に意識を戻すように。自分は、医療を学ぶことで、バランスを崩している。 「脳より大切なものがある」これに尽きる。2023/05/03

ハチ

11
最終章の布施さんと養老先生の会話が暖かいなあ。間が空いてポツポツと言葉が溢れる雰囲気がよいなあ。布施さんはお弟子である前に、養老先生の1番のファンなんだな。先生への敬意と愛情が誠実に文章に刻まれていて、確かな読み心地だった。2021/03/19

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