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内容説明
繰り返される空襲とその後の市街戦により,街は容赦なく破壊された.生き残った人びとは新しい生き方を模索するが,長く続いたナチの支配と戦争は,街にも人の心にも深い傷を残しており…….ドイツの敗戦とその後の混乱を,ナチ体制下で育った少女エンネの目線でつづり,それぞれの人生の変転を描く.大河群像劇完結編.
目次
第三部 石の花┴第四部 凧たこをあげよう┴原注┴訳注┴エピローグ┴あとがき┴訳者あとがき┴『ベルリン1945』にまつわるドイツ年表┴【上巻目次】┴第一部 また会えるかどうかわかったものじゃない┴第二部 イワンたち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みつ
32
上巻の終わりの明るい描写から一転し、瓦礫と化したベルリンに戻ってきた人々も含めた感情のぶつかり合いが語られていく。ナチス協力者が生き延びようと足掻く一方、ナチスに抵抗してきた人々も解放軍とは到底言えない、別の独裁軍事国家ソ連の実情を知る。それでも家族の中に新しい結びつきが生まれ、希望に満ちた形で三部作は完結するが、エピローグにもあるようにソ連への幻滅は深まり、東西分断によるベルリン市民の苦難はさらに続く。1989年のベルリンの壁崩壊をエンネは見ることはできたのだろうか。ドイツ敗戦から80年を迎える日読了。2025/05/08
ケイトKATE
27
やがて、ヒトラーの死によって第三帝国が崩壊したことで、ヘレは解放されゲープハルト家に帰ってくるが、ドイツが犯した罪と責任を巡る論争が起き、エンネをはじめゲープハルト家の人々には重い空気が漂う。それでも、ゲープハルト家の人々は微かながらも希望を探そうと前を向こうとして物語は終わる。『ベルリン三部作』は激動のドイツ史を市井の人々であるゲープハルト家の人々の目線から見た物語である。ゲープハルト家の人々が生きた時代は非常に過酷なものであるが、著者クラウス・コルドンは真正面から向き合って物語を書いている。2020/07/23
しゃん
24
『ベルリン』転換期3部作を読み終えた。全く異なるジャンルではあるが、『夜と霧』を読み終えたときと同じ読後感。個人や家族が政治や思想といった抽象に飲み込まれ、翻弄されていく様が苦しい。特に、この1945はこれまでの登場人物の悲しい結末が語られる。ナチスの支配が終わっても、多くの市民に解放が訪れたわけではなく、救いのない話が続く。つらい部分が多かったが、最後いくつか未来への希望が見えてきて、人間の逞しさを感じた。特に印象に残ったフレーズは「本のない住まいなんて、笑いも夢もない人と同じよ」というミーツェの言葉。2020/10/12
ぐみべあ
23
第二次大戦終盤のベルリン。ソ連の占領により、戦争の終結を喜ぶと同時に、掠奪に怯える市民。正義とはなにか。その時権力の座に座ったものが「正義」なのか。平和と自由を得る手段としての暴力は許容すべきか。暴力以外の方法で戦うことは可能なのか。国民の生活を豊かにする自由で平和な国家はどうすれば作れるのか。民主主義国家において独裁者の台頭を許さないにはどうすればよいのか。など、多くの重要な問いを投げかけてくれる本。 ノンフィクションにはできない方法で、フィクションは歴史を伝えられると感じた。2020/12/20
かもすぱ
15
ベルリン転換期三部作完結。長い戦争が終わって、占領下での新しい生活。父ヘレも無事収容所から帰ってくるものの、物心着く前に離れていた娘エンネとの親子らしい関係はイチからのスタート。戦争が終わったからいいというものではなくて、戦争があったという爪痕は深い。もちろん晴れやかなシーンもあって清々しいんだけど、このあとドイツもベルリンも東西に別れてしまうという歴史を知っているだけに、読者の気持ちには影が差してしまう。コルドン作品には別の時代のベルリン三部作があと2つもあって合わせて九部作だとは恐れ入ります...。2021/06/16
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