内容説明
権力闘争と外圧の中で、幕末最大の難問に決断を下し、国際化に邁進した男の実像に迫る! 一人の男により日本が変わった! ――鎖国体制の堅持か? 開国か? それは、幕末の日本を揺るがす大問題があった。運命のいたずらによって、時の総理にあたる老中首座となった堀田正睦は、早く日本を国際社会に仲間入りさせようと、強烈な使命感に燃え、開国を主張した。孤軍奮闘を続けて条約調印にこぎつけた堀田に、京都の天皇側から猛反撃が始まった……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
46
幕府側から見た開国の物語でした。政治交渉がメインのため、難解さは否めません。強烈な使命感を持ち、交渉にあたった堀田正睦。開国に応じるか悩ませていたのですね。政治は苦手ですが、このような国際に邁進した人物がいることを知り、興味がわきました。2021/12/08
ごゆるりと
5
⭐️⭐️⭐️⭐️重厚感ある約800頁を読了。政治交渉を中心とした歴史小説のため、すいすいと読めるものではないけど、じっくり読み進める価値は十分あり!1855年に急遽老中首座に抜擢され、日米修好通商条約を駐在総領事ハリスと足掛け2年交渉し草案作成まで持ち込んだ堀田正睦のお話。浅い学生知識で井伊直弼が強行して結んだとばかり思っていたので、そこに至るまでに別の方達がこんな苦労を重ねてたとは…。物語は主に①ハリスとの交渉を先延ばしにしようとする阿部正弘との交渉②阿部の死後に本格的に始まったハリスとの交渉→2021/01/08
オルレアンの聖たぬき
2
青天を衝けの中で『備中ー!』と怒鳴りつけられる堀田備中守、一橋慶喜にひたすら『恐れ入り奉ります』と連呼し、謝罪し続ける井伊掃部頭。そして『井伊掃部頭に大役が務まるはずがない!!』と迫る役人。それらが思わずここにあったのかーと思い起こしてしまう。幕末の朝幕関係を事細かに描き出しているくだりは思わず息を呑んでしまう2023/02/15
Ryo Sogawa
1
日米修好通商条約調印に至る、日本の政治の迷走を描いた歴史小説でした。途中まで8割方、政治的な駆け引きの話が主で、正直なところ読んでいて面白いとは思えなかったのですが、最後、井伊直弼が大老になる辺りから、そこまでの流れがつながり出し、全部読んだ辺りでは、何かしら納得感がありました。2017/09/04
Satoshi Yagyu
1
▼幕末期、開国のために孤軍奮闘した時の老中首座(外相・財相兼務の首相)堀田備中守正睦が主人公。 ▼堀田は、列強の脅威に右往左往するだけの世論を無類の根回し能力でまとめ、九分九厘まで米国との通商条約調印へとこぎつける。 ▼しかし水戸斉昭ら勤皇派を封じようと、本来必要のない勅許を取り付けに上洛し、かえって天皇側の政治意欲に火をつけてしまい、失脚する。 ▼世論の攘夷が倒幕・維新へおおきく舵を切る事情が、経済の視点からもよく整理され、有利に行われた政治的な根回しが失敗する現場に、学ぶことが多い。2016/06/16