内容説明
殺してしまった。ただ、なんとなく。圧倒的な言葉の力、鮮烈な文体で描きだす「日常に潜む狂気と暴力」――女の死体を何度もまたぎながら、俺は部屋の明かりを消して、待つ。きっと、俺と同じようなやつらが、ゴマンといる。日常に潜む狂気、誰もが知らずに抑えこんでいる暴力への衝動。鮮烈な文体、圧倒的な言葉の力で描きだされた、バイオレンスの世界。表題作「ソロ」、「アス・ホール」、「外回り」の3編を収めた傑作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
47
タイトル作は女性を殺害し、その部屋で無為な時間を過ごす男の姿を描いています。そこに至る詳細は語られず、ひたすら男の目に映る女性の生前(?)の生活感や男の悶々とした思いが、ねちっこくつづられます。逃げ道なしの中、奇矯な行為を続け、妄想の世界に足を踏み入れる男。汚らしさと不快さが、読者を圧倒してくる作品です。その他は、米兵から執拗に秋波を送られる男「アス・ホール」、無作為に選んだ女性をつけ回す男二人「外回り」。この二作品も読みながら嫌な感じが付きまといます。ストーリーで読ませる作品集ではありませんね。2021/12/31
harass
11
三本の短篇集。海外の非ハリウッド映画を見ているような感覚。妙に細かい描写の積み重ねで筋は非常に短く微かなサスペンスとユーモアががある。この著者の小説は感情移入とかをいつものように考えてない。表題作は主人公がストーカーしていた女を殺害した後、その彼女の死体がある部屋で過ごす数日間を描いたただけのもの。汚く雑多なものをそのまま描いていく。解説の陣野俊史がギャスパー・ノエ監督『カノン』を出してきた。忘れかかっていたこの極悪な映画作品との類似に納得した。全世界を敵にして立ち向かう孤独で愚かな男の話だと。2013/07/08
sibafu
6
三篇を収録。どれもストーリーはどうでもいい。この物語を作ろうという意識の無さはもはや潔い。物語は大事ではない。何か書きたい文章、セリフ、文句、瞬間があって、それを書くがために物語が器として用意されているだけのことだ。きっと、そう。藤沢周さんの作品にはそういうものが多々あるが、この一冊の三篇は全部まさにそれ。キワキワって感じか?よくわかんないけど。2013/12/24
...
5
殺した女の家に勝手に住み込み、やりたい放題。初期の電気グルーヴの歌詞にも通じるバカっぷりが意外にもさわやかな表題作。良い。笑える。2010/10/01
occaa
2
よく分からなかった本。何が言いたいのか…頑張って最後まで読んだという感じ。2012/03/15