内容説明
19世紀後半にメンデルが発見した遺伝の法則とダーウィンの進化論が出会ったとき、遺伝学は歩み始めた。ナチス・ドイツが優生思想のもと行なった民族浄化という負の遺産を背負いながら、ワトソンとクリックによるDNA二重らせん構造の発見を経て、遺伝学は生命科学そのものを変貌させてゆく。 『がん―4000年の歴史―』でピュリッツァー賞に輝いた著者が、自らの家系に潜む精神疾患の悲劇を織り交ぜて語る遺伝子全史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
89
私の遺伝子は何処から?未だに親から引き継いでいることが信じられないでいる私は他人事のよう。障害をもたないように妊娠期を無難に過ごしてくれたであろう点には感謝。私は私が作り上げていく。2021/04/02
樋口佳之
49
狭い科学史に収まっていない部分(優生学、遺伝子組み換え技術の特許化と産業化)は、このような話題を考える時は常に、同時に考えるべきだと言う著者の思いを表しているのかも。いつか下巻へ~2022/08/26
tom
19
著者が書いた「がん‐4000年の歴史‐」は、すこぶる面白い本だったけれども、この本もまた同じ。もっとも、この本は、当然のことながらメンデルの実験、優生学の興亡、二重らせんの発見・・など、遺伝学の初期から順番に語るわけで、4分の3辺りまでは、知ってることばかり。1980年前後からの遺伝子組み換え等々からが面白くなる。下巻にどんなことが語られるのか、ここからが楽しみ。2021/06/08
塩崎ツトム
15
学生時代に読んでおきたかった本は数多あるが、本書もそんな一冊。上巻ではダーウィンやメンデルの時代から、DNAの構造解析、ゲノム組み換えの時代までで、ここまでで大体高校生物の教科書に書かれることは踏まえている。2021/06/06
maimai
11
極めておもしろい。上巻の終わり近くまでは、すでに基本的な知識はあったけれども、進化論と遺伝子学の進展の過程で優生学が台頭・席巻していく過程が、歴史の流れとしてリアルに説かれていて、当時の欧米社会の空気まで、肌感覚として伝わってきた。2021/12/05