内容説明
経済学や哲学、さらには社会科学全般で基礎的な概念である「合理性」と「自由」。あまり精査されてこなかったこれらの概念を、さまざまな学問に影響を与えてきたセンが吟味し、その有効性と限界、そしてその功罪をも解明していく。社会的選択論、厚生経済学、そして哲学にも多大な問題を提起する、ノーベル賞受賞者による渾身の大作。
目次
第IV部 自由と社会的選択
第12章 自由と社会的選択
1. 社会的選好
2. パレート派リベラルの不可能性
3. 例証
4. 制限、拡張、再定式化
5. 自由、コントロール、社会的選択
6. コントロールと間接的自由
7. 選好、選択、個人的領域
8. 囚人のジレンマ:比較と対比
9. 結託による解決?
10. 結語
第13章 最小限の自由
はじめに
1. 自由と社会的選択:いくつかの一般的な問題
2. 社会的選択による定式化の汎用性
3. 契約は不可能性結果の解決となるか
4. 最小限の自由の「直観的理解」
5. ギバードの拡張とそれに基づく批判
6. ゲーム形式、侵害的行為、自由
7. 結語
第14章 権利:定式化と帰結
1. はじめに
2. 権利の定式化、ノージックの提案、ゲーム形式
3. ゲーム形式、帰結、権利の類型学
4. ゲーム形式とリベラル・パラドックス
5. 解釈上の誤解
6. 決定の諸原理
第V部 視点と政策
第15章 位置相関的客観性
1. はじめに
2. 位置相関的に客観的な観察上の主張
3. 知識、科学、位置相関的に客観的な信念
4. 位置相関性と客観的幻想
5. 客観的幻想の事例:罹患率とジェンダー・バイアス
6. 主観主義と位置相関的客観性
7. 文化相対主義と内部批判
8. 位置相関的に客観的な期待値としての主観確率
9. 義務論と位置をともなう帰結主義
10. 結語
第16章 進歩に関するダーウィン的見解
1. われわれの形質と生
2. 人間中心主義と人間の価値
3. 種、保存、動物の生
4. 基準と比較
5. 適応度:首尾一貫性と説得性
6. 何と比較してより適応的か
7. なぜ適応度か
8. 評価と推論
9. 個人とそのタイプ
10. 遺伝子の改良と優生学
11. 設計と決意
12. ダーウィンとマルサス
13. 絶滅と環境
14. ダーウィン主義とわれわれの生
第17章 市場と自由
1. はじめに
2. 市場と厚生主義的な効率性
3. 自由の概念:プロセスと機会
4. プロセス的側面:免除権と自律性
5. 機会的側面:選好と自由
6. 機会の自由における競争均衡の弱効率性
7. 不平等と市場メカニズム
8. 結語
第18章 環境評価と社会的選択
1. はじめに
2. 社会的選択アプローチ
3. 現存価値と仮想的評価法
4. 地球温暖化、窮境、評価
5. 結語
第19章 費用便益分析
1. テーマと論争
2. 一般的推論における費用と便益
3. 基本原理
4. 構造上の要求
5. 評価における無関心
6. 市場中心的評価
7. 結語
第VI部 自由と社会的選択:アロー記念講演
はじめに
第20章 機会と自由
1. アローと社会的選択
2. 自由の二つの側面:機会とプロセス
3. 選好と熟慮された評価の解釈
4. 社会的選択の射程
ほか
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壱萬弐仟縁
roughfractus02