内容説明
駄菓子屋の奥に、子どもだけの食堂開店!
激務の末にロケ先で怪我を負い、心身ともにダメージを負った楓子は憧れて入った映像制作会社を25歳で退職した。実家で無為徒食の生活を過ごした後、80歳になる祖母が営んでいた東京・下町の駄菓子屋「かすがい」を継ぐことになった。
1ヶ月経ち、「おばちゃん」と子どもたちに呼ばれるのにも慣れ、常連の子の顔と名前も覚えて来た頃、ひとりの少年の存在に気がつく。夕刻にやって来てきっちり300円分の菓子を買って帰るのだ。その理由に気がついた楓子がとった行動とは──(第一話 その名も『かすがい食堂』)。
貧困、いじめ、摂食障害など問題を抱える子どもたちのために、楓子は店の奥の台所で食事を提供することにした。肉汁のあふれるハンバーグ、もりもりごはんが進む野菜炒め、みんなで囲む寄せ鍋……!!
楽しく温かい食卓を描く全四話。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
219
楓子さんのおせっかいなこと。おせっかいすぎるところもあるけど、今時、25歳でここまで子供達の事を心配するのは教師でもいないのではないかと思う。そんなおせっかいをやく楓子の祖母の朝日は、昔取った杵柄と言うべきか、老練な名参謀と言ったところかな。楽しい時はもちろん、悲しい時、淋しい時、苦しい時でもお腹は空く。しっかり食べて明日の活力にしてほしい。様々な問題を抱える子供達、食を通して学べることもあるし、しっかり食べて、幸せになってもらいたい。子供食堂を営んでる皆さんを応援したい。 2021/10/19
5 よういち
119
【1700冊目】初読み作家さん。◆憧れの業界に就職したが、激務に心身ともに打ちのめされた楓子は、下町で祖母が営む駄菓子屋「かすがい」を継ぐことに。駄菓子屋には、元気な子どもたちが集まってくるが、その中には問題を抱えた子たちもいて...◆ある意味おせっかいな楓子が問題を抱えた子どもたちに"食"を通して寄り添い、そして解決の糸口を見つけていく。今どきの若い女性の感性と下町の駄菓子屋のおばちゃんの素質を合わせてもった楓子が好感。子どもたちも悩み、真剣に考えている。周りに伝える術を見つけられないだけなんだ。 2021/06/28
ジュール リブレ
96
上野駅の書店で平積み。なんか気になってしまいました。駄菓子屋で見つけた問題ある家の子供たち向けに こども食堂。きっぷのいいおばあさんや商店街の面々に助けられ、少しずつ形になっていく。大人だから指導するのでは無くて、一緒にいて、話を聞いてあげる。話をする。一緒に買い物、食事の準備、そして、いただきます。どんな食べ方でも良い。一緒に食べる食事。そんな機会を奪われてしまっている子供たち。それでも、子供たちは、よく見ている。学んでる。ガンバレ!2021/04/25
nico🐬波待ち中
84
東京の下町にある駄菓子屋"かすがい"の奥の台所で、子供に食事を提供する"かすがい食堂"。提供するとは言っても食べる子供も一緒に買い物したり料理をする変わり種の食堂で、家庭や学校などで問題を抱えた近所の子供数人に、食事を共にすることで息抜きをさせてくれる場になっている。"かすがい"の店主・楓子が子供を見下したり一方的に施したりするのではなく、常に同じ目線でじっくり向き合い寄り添う姿勢に好感が持てた。みんなと一緒に食卓を囲むことを楽しいと思える気持ちが、やがて子供たちの救いになるといい、と願わずにいられない。2023/04/29
papako
69
よかった!作者の作品、何冊か読んできたけどこれが一番好きかな。テレビの制作会社を退職し祖母の駄菓子屋になった楓子さん、お客としてやってきた、自分がなっていたかもしれない男の子を見かねて子供食堂を始める。ネグレスト、拒食症、貧困など子供たちの問題を見て見ぬふりをしない楓子さん。でも決して押し付けがましくないのがいい。若いのにおばちゃんみたいな楓子さんに好感持ちました。なんか好き。2022/02/22
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