内容説明
2050年、アフリカ大陸の人口は25億人に迫り、世界の4人に1人が「アフリカの人」になると言われている。人口激増は食糧問題や経済発展、環境破壊に大きな影響を及ぼす。つまり、人類全体の未来は、アフリカを抜きには語れないということだ。そのアフリカは、経済発展している一方で、砂漠化、飢餓、貧困、紛争など、グローバル資本主義の矛盾も多く抱えている。アフリカはこの先どうなっていくのか? その現状と未来を、現役NHK特派員が現地からレポート!
目次
はじめに アフリカを歩く
第1章 「虹の国」のワンチーム
第2章 世界最悪の貧富の格差
第3章 そこをコロナが襲った
第4章 植民地支配の呪い
第5章 中国化するアフリカ
第6章 気候変動最前線
第7章 海面上昇に翻弄される「優等生」
第8章 幼すぎる結婚
第9章 黄金とテロ
第10章 世界で最も若い国の若者たち
第11章 平和のために闘う医師
第12章 カエル跳びで前進せよ
第13章 監獄からの手紙
おわりに 太陽を追って
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
229
主に弱い立場の人々への取材から成る。辛かったのは、コンゴ内戦で地域社会潰しの安価な武器とされたレイプの話。その女性は夫の子か誰の子か判らない子を育てている。どこに怒りをぶつければよいのだろうか。気候変動、汚職、飢え、植民地が残した紛争。今はアフリカ各地に中国が進出し、ザンビアやアンゴラ政府は莫大な借金をして中国のインフラ参入を歓迎するが、余りにも中国有利の契約で先行きは暗い。我々はアフリカを巨大市場と見るだけではいけないのだ。「資本主義の最終ランナー」アフリカで人類のあり方が問われている、という言に頷く。2021/12/05
やいっち
84
好きで録画で視聴するNHK特集などで見聞きしたような感が強い。本ならではの掘り下げが足りない気がした。昔は恐怖感と偏見の裏返しか、あるいは黒人を揶揄してか、アフリカは暗黒大陸と呼ばれた。人類が誕生した地であるアフリカ。人類が齎した貧富の差と環境破壊。そんな危機の時、逞しいアフリカから希望の光が生まれるのかもしれない。希望の大陸アフリカ。2021/05/18
skunk_c
68
NHKの記者の手によるアフリカのルポ。人口が急増し、経済発展がある一方で、気候変動の悪影響、内戦とそれに伴う人権侵害、難民などの問題も多く抱えるアフリカの「今」を切り取り、著者自身の皮膚感覚を交えて伝えている。ジャーナリストらしい視点と、とても読みやすい文章で一気に読めた。拠点を置く南アフリカの話題が多いが、ラグビーのワールドカップの際に気になっていた黒人と白人の格差からくる融和の解消ムードなど、しっかり書かれている。一番の驚きはルワンダの今。「虐殺」から四半世紀後の今、全く違う社会がそこにはある。2021/03/01
やいっち
67
刊行して数年だが、まさに読むべき本と再確認。ウクライナやガザも大変だが南米も朝鮮半島もインドも、そしてなんといってもアフリカの抱える矛盾は凄まじい。それでも希望の光を追い求めてる。2024/01/13
活字の旅遊人
48
NHKヨハネスブルグ支局長。テレビ番組のような構成、描写は読みやすい。その上集英社新書ということで、文字が大きく字数が少ない。なので、すらすら読めてしまう。おわりに、でさすがに触れてはいるが、どうも伝えるべきことは伝えているのだけど、では日本人としてはどう向き合おうか、という視点が極めて薄いように感じた。テレビらしい、ということかもしれない。中国が進出していて、欧米は昔からの利権を保つ。なんだかそこに同等以上で入り込むことが日本にとって是である、と素直に思えない自分がいる。もっと生のアフリカを知りたい。2021/06/01