内容説明
太陽テレビの記者・塚原は、後輩記者からユニークな子ども食堂の話を聞く。週に2回、プロの料理人たちが交替で料理を作るというのだ。そこで出会ったのは、謎めいた魅力のあるユウさんと呼ばれる人物だった。ユウさんの店「灯火亭」を訪れた塚原は、ますます彼に興味を惹かれ、取材を進めるのだが……。(表題作) ほろ苦いけどあたたかい、大人のための連作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
171
今作でユウさんの過去が少し明らかになりましたね。でも、ユウさんは謎のまま、ミステリアスな人でいてほしいな。料理は想像しただけで、上品で美味しそう。亜海ちゃんの心のこもった燗に、ユウさんの気づきをくれる会話、そして常連さんの和に入りたいね。灯火亭、大人の酒場という雰囲気の中に、柔らかく包む優しい雰囲気がプラスされて、更に灯火亭に行ってみたいと思ってしまう。それにしても、強さとはなんだろうね。みんな、いろいろな強さがあるんだろうな。ユウさんと常連さん達と強さとは何か語りあいたい。2021/02/03
真理そら
58
とりあえずその親子丼を私にも食べさせてください、という気分。ユウさんの過去が少しわかってきた(想像以上の幹部候補だったんですね)けれど、このシリーズはユウさんや亜海ちゃんの物語ではないのであまり深く掘り下げることはない。常連は多いが一見さんが入りにくい雰囲気がないので気持ちよく、客の悩みに相槌を打つ気分で少し考えさせられながら読了。2024/06/06
さとか
53
よりみち酒場ともしび亭シリーズの3作目。雑踏(三軒茶屋という噂)をくぐり抜けて脇道に入ると、貴方をホッと迎えてくれる、素敵な心づくしの飲み屋あり🍺今宵も、亭主の人柄と美味しい料理、気安い雰囲気を求めて、暖簾をくぐる悩み多き人たち。前作もよかったけど、今回もとてもホッコリできました☺️じんわり系が好きな人にはぜひともオススメしたい‼️コロナが収まったら、こんな飲み屋に通ってみたいなー🤔2021/10/02
くぅ
47
少しずつユウさんの過去が明らかになった一冊。明るみにしたのはマスコミの方。なんだか、本人が話さない過去をほじくり返されるってやっぱりいいことじゃないなぁと思ってしまう。それからこども食堂の話。私の周りには幸いに居ない(知らない)けれど、DVでシェルターに逃げる母子もやっぱりいるんだよね。両親共働きで兄弟も居ず、孤食とか。一億総活躍もいいと思うけれど、その受け皿がこうしたこども食堂になってるのだとすれば、やっぱりこれでいいのだろうか?と私は考えてしまう。今回はちょっと重めの話題が続きました。〈積本-11〉2021/04/03
たんぽぽ
25
前作から少し間があきましたが、すっと世界に馴染めました。 気軽にふらりと呑みに行くことができない今日この頃。街角で灯火亭を見つけてふらりと入ってみたいなぁ…と妄想してしまいます。 無自覚な老人が「男性、女性、両性」と口にしてしまったことが非難されている昨今。悪気はなくても、無神経に人を傷つけたり追い詰めたりすることがある…もっと考えて、意識しないといけませんね。2021/02/19