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内容説明
太平洋戦争のターニングポイントとなった真珠湾奇襲とミッドウェー海戦――。この天王山の戦いは、連合艦隊司令長官・山本五十六と、その後継者と目された山口多聞少将を抜きにしては語れない。両者とも武士の家系を引き継ぎ、山本はハーバード大学、山口はプリンストン大学に米国留学した経験をもつなど、共通点が多い。また駐米武官を務めたところも同じで、日本海軍きっての知米派であり国際派であった。山本も山口もアメリカの真の実力をよく知っており、日米の戦争には一貫して反対していたのだった。しかし一旦、国家が開戦を決断した以上、海軍軍人である二人は死力を尽くして米軍と戦い、当初から不利と思われていた戦いを善戦へと導いた。山口はミッドウェー海戦で米艦隊に一矢を報いて海に沈み、山本はブーゲンビル島上空で米機に撃墜され、無念の戦死を遂げる――。日本海軍が誇る名将二人の激闘の生涯を描いた力作長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
25
物語風というか掛け合いのように構成されていて読みやすい。著者のおふたがたに対する敬意を感じた。そもそもアメリカ相手に戦う、はじまっても補給物質を叩かず、終わりも見えていないという意味では愚将極まれりといった感じだが、空母機動艦隊の運用などは、大変画期的であったと思う。2020/12/30
RED FOX
10
「40日間飲みに行かなかったら、土浦の街から和解の申し入れがあった」三国同盟、対米戦争に反対し続けたのに司令官になってしまった五十六の心境が悲しい。2022/08/11
future4227
2
父親が五十六歳の時に産まれた連合艦隊司令長官山本五十六、楠木正成の幼名多聞丸から名付けられた山口多聞司令官。とかく山本五十六ばかりがクローズアップされるが、山口多聞の方が人間としては断然素晴らしい。山本五十六への評価は賛否両論あり、手放しで英雄視はできないと思えてくる。機動部隊の司令長官が南雲忠一でなく山口多聞であったら、歴史は大きく変わっていたかもしれない。2014/07/04
Massaman
1
山本五十六と山口多聞を中心とした、日中太平洋戦争の記録。大きく心に残った一つはこの時代の人々の生き様と今のそれとの違い。昭和の人たちの生き様の陰には明治維新時の藩の精神が息づいていた。自然と過去の人と自分が一つの連続性を持っていた。平成生まれの自分たちに、自らを形作る軸のようなものを過去から受け継いでいるかと問われれば、はっきり何と答えられる人は少ないと思う。もう一つは国家組織の複雑さ。様々な場面で様々な意図が錯綜し、違う人から見れば、人物の評価は180度違うものにもなりうる。石原莞爾とは。2018/10/02
常嶺
0
真珠湾攻撃当日の「ラジオからはホノルル放送局の軽快な音楽が流れてくる。いかにものんびりした休日の朝だった」というのが、なんだか印象深い。2014/06/03