ちくま新書<br> 内モンゴル紛争 ──危機の民族地政学

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ちくま新書
内モンゴル紛争 ──危機の民族地政学

  • 著者名:楊海英【著者】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 筑摩書房(2021/01発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480073686

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内容説明

2020年夏、中国政府は内モンゴルの公教育からモンゴル語を排し、中国語を母語として押しつける決定を下した。なぜ中国は民族同化政策を採ろうとするのか。それを理解するにはユーラシア史の中でモンゴルを見る地政学的視点が必要だ。遊牧民の世界、チンギス・ハーンのモンゴル時代、イスラームとの関係、近代国家形成・民族自決問題、日本による植民地化、ソ連・中国による分断などのモンゴルの歴史の要所を明快に解説。そこから現在の内モンゴルにおける紛争の深層を照射する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

51
地政学に民族概念を組み込んだ「民族地政学」という方法が、必ずしもしっくりは来ていないが、モンゴル人である著者が、「モンゴルから見た歴史や政治・外交」という一貫した切り口で、2020年の内モンゴルにおける中国語の強制から、1949年より続く内モンゴルのおかれた状況を告発する。さらにモンゴルとウイグルやチベットといった中央アジアの繋がりを重視する視点は、今まであまり意識することがなかったので極めて新鮮だ。同意しかねる見解もいくつもあったが、著者のモンゴル人としての強いアイデンティティにぐいぐい引き込まれた。2021/01/24

巨峰

49
モンゴルの人たちの話は歴史小説でよく見かける。その頃は、部族に分かれていて中華国家に協力する部族と独自の道を進む部族。ハーンがでで、各部族を統合していく。今日のモンゴルは、ソ連と中共の支配のため、大きく3つに分断され、特に内モンゴルが中共の同化政策のため苦しんでいることが、内モンゴル出身の筆者により明かされる。こんにちの分断をモンゴルにもたらしたのが密約であるヤルタ協定に発したことに驚きがあった。東アジア中央アジアでは戦後はまだまだ続いている。現在日本人が知るべき事実、読むべき本だとおもう2022/03/20

nagoyan

14
優。著者の言う「民族地政学」が今一つわからなかったが、ユーラシア大陸を東西に結ぶ草原地帯(ベルト)に固有の遊牧民の論理と文明があり、それは「中国」とは異質なものであるという著者の主張は了解できる。長城以北の内モンゴルは漢民族(中国)の支配に属したことはなく、モンゴルを中国の少数民族、中華民族の部分とみることは文化的ジェノサイドだという。著者のいう日本の植民地責任は、旧宗主国として植民地(「満蒙」)であった内モンゴルの現状に心を寄せろというもので、これはそういう考えもありうるのかとやや新鮮に感じた。2021/01/20

ののまる

10
満州国や日本の進出と関係が深いのに、なかなか知られていない南モンゴル(内モンゴル)の歴史や今。そもそも満州開拓団とかをしっかり習わないものね…。楊先生の文章、あちこちに飛んでいったり、章を跨いで話が重複したり、事実を述べているところに自分の意見が混ざったりするので、ちょっと読みづらくいつも苦労する…2021/12/03

kenitirokikuti

8
楊海英氏、生まれのモンゴル名はオーノス・チョクトで、現在は日本に帰化して大野旭である。ご先祖は清・民国のころ界牌官という国境警備の役人で裕福な一家であったが、それゆえ文革では弾圧を受ける(このへんは本書の内容ではないが)▲自分は90年代から岡田英弘や田中克彦を読んでるので、おおよそは知っている内容である。あけすけなことを書くと、やはり「王制」意識があると話が通じやすそうに感じるなぁ(もちろん、単なる「ボス交」にすぎないが…)。2021/09/09

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