内容説明
「皆さん。こんなおかしな小説はありはしません。信じて下さい」2036年の日本。「練られた筋書きだの、生活の機微を活写した虚構だの、人間のありようを深く追求するだの、そんなことの一切が嘘八百だということを、わたしは平易な随筆でもってあきらかに示したい。それが敗戦国の人間の、当然の責務だと考えるからであります」獄中で書いた随筆は、政府が発布した「小説禁止令」を礼讃する内容になるはずだった。しかし、当局がそこに見つけたのは、あるはずのない作品名だった……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まると
14
「日本」や「安全」などの文字が伏せ字となっていて、カタカタ文字も一切なし。獄中記のスタイルで、小説の型式を語りつつ、少しずつ時代設定が明らかにされていく。ただ、最後は夢のような幻覚的な文章(意図的に気が触れたようにしたのか?)が続いて、何が何だかわからないまま、終わってしまった。それこそが作者の意図なのかもしれないけれど、温又柔さんの解説も理解の助けにはならず。読解できた方に本当の解説を願いたい。2020/12/19
なつみかん
11
これはどう読めばよかったのだろう?なにを予備知識に持っていれば入ってくるのだろう?分かりませんでした。2020/12/19
ひでお
7
近未来小説の体裁をとっていますが、非常に細部まで拘って考えられた作品だと思います。まず、著者の分身のように思える語り手による小説論。小説を否定している文章になっていながら、小説の可能性を論じる小説論になっています。もうひとつが現代にも忍び寄っているような言論統制や地域の分断に対する強い抗議です。多数に反する意見を許容しない世の中にならないことを切に願います。2022/03/17
agtk
4
これは囚人の妄想? そもそも彼は囚人ではない? よくわからなかった。「月宮殿暴走」を読んでみたい。2020/12/30
Jimmy
4
いとうせいこうファンのつもりの私ですが、これはまったくどう楽しんだら良いのかわからずに読み終えてしまいました。2020/12/15