内容説明
田舎町で祖父母と三人暮らし。唯一の趣味である詩作にふけりながら、僕の一生は平凡なものになるはずだった。
ところがある時、僕の秘かな趣味を知ったクラスメイトの遠坂綾音に「一緒に歌を作ってほしい」と頼まれたことで、その人生は一変する。
“ある事情”から歌詞が書けない彼女に代わり、僕が詞を書き彼女が歌う。そうして四季を過ごす中で、僕は彼女からたくさんの宝物を受け取るのだが……。
時を経ても遺り続ける、大切な宝物を綴った感動の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mariya926
140
レビューが少なくてビックリしました。最初はどこかで読んだ事がありそうなデジャブ感を感じつつ読んでいましたが、最後は良かったです。なんとなく題名で物語は予測できてしまいましたが(笑)途中ぐらいから、彼女が誰かも予測できましたし。その彼女の名前って何だったけ?っ最後にはなりました··。死ぬまでにしたい事を書くのをバケットメモって言うのですね。もちろん悲しい事ですが、ほとんどしたい事を出来たのは、ある意味幸せだったのではないかと感じました。2022/07/24
kei302
70
泣けるとか、泣いたとかを安易に使いたくないけど、これは、もう、泣けます。 泣かせるフレーズを使ったり、泣かせる方向に持って行ったりしない、簡素で淡々とした語り口が効果的。春人が一人称で語る綾音との思い出。 「君/最後/遺した」悲しい結末が待っていることは予想できるので、途中何度も胸が苦しくなった。 青春もので恋愛小説だけど、文体や出来事に浮ついたところのない、落ち着いた作品。良作です。しをんさん曰く、一人称で長編を書き切るのはとても難しいそうです。 2021/01/28
坂城 弥生
57
孤高の女の子と、やっぱり周りと一線を引いている男の子の物語。美しい未来が見えた。2021/04/16
よっち
49
田舎町で祖父母と三人暮らしで、詩作を唯一の趣味に平凡な生活を送り、堅実な将来を目指していた水嶋春人。その秘かな趣味を知った同級生・遠坂綾音から一緒に歌を作るように誘われ、その人生が変わり始める青春小説。歌詞が書けない事情を抱える綾音に代わり自分が書く関係。共に時を過ごし想いを積み重ねて彼女が歌う姿に惹かれてゆく春人。綾音の夢を叶えるために背中を押す春人の決意は切なくて、けれど離れ離れになっても変わらない思いがあって、そんな二人が過ごしたかけがえのない日々と、ちょっと粋な結末にはぐっと来るものがありました。2020/12/28
10$の恋
48
春人は“ある女性”に語り出す。かつて愛した綾音のことを_。二つで一つにしかなれないもの、それが「歌」。趣味で詩を書く春人と、孤高の高二女子綾音の曲作りがひょんなことで結び付いた。ふたりの距離の近づく様子が微笑ましい。だが、好きだからこそ「好きだ」と言えない理由もある。やがて実る二人の恋。他愛ない話ですら輝く宝物…それが恋愛。だが、ふたつの悲運が綾音に寄りかかる。綾音のバケットリストに綴られたいじらしく正直な希望、読むのがツラい…でも二人を見届けたい…。深い「相思相愛」にラスト90頁ほど全ページ泣いた😭2021/05/24
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