エレホン

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エレホン

  • ISBN:9784105071516

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内容説明

羊飼いの青年が迷い込んだ謎の国「エレホン」。人びとはみな優しく、健康的で美しく――。でも、それには“しかるべき理由”があった。自己責任、優生思想、経済至上主義、そしてシンギュラリティ……。社会の幸福とはいったい何なのか? ディストピア小説の源流とされる幻の長篇が、現代人の心の底に潜む宿痾をあぶり出す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふみあき

46
ハックスリー『すばらしい新世界』に先駆するディストピア小説の古典。古典特有の(?)冗長さというか、まずエレホンに入国するまでが相当長い。それと原文からして晦渋なのか、翻訳がまずいのか、私の理解力がお粗末すぎるのか、文意の取れない箇所が多くて、しんどい読書だった。また(訳者解題にもある通り)、そのエピソードで語りたい作者の真意がつかみづらい。もちろん生誕をめぐる理不尽さが語られる第18、19章は、少し前に流行った反出生主義を思わせて興味深いし、「本能によって是正されない理性」の質の悪さなど、鋭い指摘も多い。2023/05/18

慧の本箱

19
一見ユートピアに見えるがその実ディストピアな国エレホンにたどり着いた英国青年の話。上梓されたのは1872年。この19世紀はイギリスを中心とした西欧の大発展期でそれに伴い、あらゆる問題が浮上してきている状態。そんな問題を著者は逆手にとって架空のエレホン国を舞台にして逆さまな世界と二重性を読み手に投げかけてくる。そしてそれは現代社会にも通ずる問題でもあることに驚かされる。2021/05/24

7
引き込まれるような、不思議な物語で、最後まで楽しめましたが、今の私の読解力ではまだ、この本を理解しきれていないのだろうな、とも感じました。 ただ、自分がなにか凄いものを読んでしまった、という感覚だけは、たしかに私の中にあり、いつか、私がもう少し大人になってから、またこの本を読んで、この凄さの正体を知ってみたいと思いました。2021/06/01

刳森伸一

6
羊飼いの男が金鉱を探して山脈へと入り、道に迷った末、美男美女が闊歩する謎の国エレホンに辿り着く。そこでは独特な文化と考え方が栄えた男の母国イギリスとは全く異なる国だったという王道的、古典的ディストピア小説。ディストピア小説らしい退屈さはあるものの、興味深い記述も多い。特に極度の自己責任論が推し進められ、病気になることが犯罪とされる点やその関連箇所には色々と考えさせられる。2020/08/16

中海

5
イギリス人が未開の土地を開拓している最中にエレホン国に迷い込んでしまう。表面的には良い感じの人々だったが、そこで生活するにあたって大きな違和感を感じてしまう、というあらすじ。「おとぎ話」なら抵抗ないのに「SF」ってなると急に難解に感じるが、それはもしかして作者の力量ゆえだったのだろうか?登場人物に血肉が通った印象を受けるとおとぎ話に感じる。失敗作がSF?この作品に関しては、ウルトラマンを見ている感覚になった。現代現実とは違う、しかしどこかで起こっているんだろうという、血肉感があった。2022/12/24

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