内容説明
かつて幼き騎士ギルバートと誓った約束は呪いへと変わり、竜歌の巫女は名もなき少女となり再びこの地に生を受けた。
少年に裏切られ、全てを呪いながら生涯を終えたこの世界。十二年の月日が経ち、生まれ変わった少女は奴隷として売られそうになっているところ、青年となった騎士ギルバートに拾われる……それは彼女にとって望まぬ再会。ルゼという名前を与えられ、やがて始まった彼の屋敷での生活。新鮮な日々、暖かい人たちとの触れ合いと久々に訪れた優しい時間は止まっていたルゼの時間をゆっくりと動かし――。
世界を呪った少女と英雄となった騎士。誓い合った二人が、輪廻を超えて再び巡り合う再会と約束の物語。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
40
かつて竜歌の巫女が幼き騎士ギルバートと誓った約束。それは裏切りから呪いへと変わり、世界を呪った少女と英雄となった騎士、かつて誓い合った二人が輪廻を超えて再び巡り合うファンタジー。人々が飢え苦しむ前領主の悪政を覆した革命。苦しい過去の記憶を持ったまま転生してルゼと名乗った少女とギルバートの邂逅。彼女と呪われたギルバートの関係は複雑で、けれど温かい人達との触れ合いが少しずつその想いを変えていって、過去の苦しみはそう簡単に忘れられなくとも、それでも未来に希望を見出そうとする結末にはぐっと来るものがありましたね。2020/12/10
かっぱ
24
信頼していた騎士にかつて誓った約束を破られた巫女が呪いを抱えたまま生まれ変わった生を送る物語。少し人を選ぶような作風には仕上がってるけれど面白かった。 いつだってハッピーエンドの裏側で涙する者がいる。誓いと呪いは表裏一体だ。強く願ったからこそ、それが善にも悪にも繋がる。全体的にはテーマも含めて物語の重さが映るけれど、いざ読んでしまえばどこか救いのある、どこか温もりのある手触りを残してくれるから良い。また、心の移り変わりの描写がとても丁寧で物語に引き込まれた2021/01/31
まっさん
22
★★★☆ GA文庫大賞銀賞受賞作品。発売前から表紙・あらすじに惹かれていたので購入を即決した作品であるが、事前のハードルの高さを十分に飛び越えてくれた。物語は冒頭から暗い話で始まり、竜と心を通わせる事の出来る少女・竜歌の巫女が処刑される場面のインパクトから即座に物語に惹き込まれてしまった。処刑される前に結んだ一つの約束を違えてしまった少年と生まれ変わった後に再会した少女が過ごす一見穏やかな日常を描いた今作は、憎しみや呪いを抱いたまま生まれ変わった少女がゆっくりとその想いを溶きほぐす様子を楽しむ事が出来→2021/04/30
のれん
19
かつて伝奇小説で良く見た、大衆の悪意に踊らされる贖罪の物語。 多数を救う正義が、悪とされる者達を糾弾する民衆が何故こんなにも醜く見えるのか。 それは無知だから。民衆は純真な少女を知らず、少女は救われた民衆を知らなかった。正義も悪も見方と時間によって変わりうる。心情描写の移り変わりがとても丁寧な一作。 ただ、それだけにキャラを動かす設定、歴史背景、世界観が薄かったのが残念。恐らくフランス革命がモデルだと思うが、少女漫画チックで不自然にぼかされている。二巻は蛇足だとは思うが、その辺を説明するのだろうか。2020/12/23
みやしん
17
悪を演じきる者達の悔恨と覚悟の矜持。萌えっぽい外見から想像できない極上のダークファンタジーにして贖罪の騎士道。唯一ケチをつけるなら、成人男性達の中心にいるヒロインがローティーンであるため逆ハーにしてもちと危うい。読み応えのある物語だけど、悲しいかな現在ラノベの中では決して主流になれない事実。②巻は無理に出さなくても。2020/12/22