ちくま新書<br> 貿易の世界史 ――大航海時代から「一帯一路」まで

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ちくま新書
貿易の世界史 ――大航海時代から「一帯一路」まで

  • 著者名:福田邦夫【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2020/12発売)
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  • ISBN:9784480073563

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内容説明

貿易は互いに利益をもたらすものと思われているが、その本質は奪い合いであり、近代以前の貿易は戦争そのものだった。現代でもTPPや米中摩擦に見られるように、貿易は各国の利害が対立する“戦場”となっている。加えて今日のグローバル経済下では、国家と多国籍企業が争う場ともなった。本書では国際貿易の始まった大航海時代までさかのぼり、貿易が資本主義経済を成り立たせ、覇権を握る手段として利用されてきた歴史を描いた。貿易は単なるビジネスなどではないのだ。

目次

はじめに 貿易の主役は誰だろう
貿易は双方に利益をもたらすものなのか?
貿易の主役は多国籍企業
国際貿易の構造を理解する
第1章 近代世界と貿易
1 大航海時代の幕開けとポルトガル
新たな商人の登場
レコンキスタと新航路の発見
奴隷狩り
通商路の確立
私貿易の興隆
コロンブスの登場
ブラジルの発見
貿易商人の「商法」
先住民の絶滅とプランテーションの誕生
砂糖と綿
ヨーロッパ列強の商業戦争
スペイン支配下のポルトガル
ブラジル金の発見
メスエン条約とポルトガルの貿易赤字
2 スペインと新大陸
連合王国の樹立
異端審問
商都アントワープ
スペインのジレンマ
オランダ(ネーデルラント)のアジア進出とスペインの破綻
黄金を求めて
貿易が壊した世界
キリスト教徒による破壊
ポトシ銀山
ポトシ銀によるインフレ
スペインの凋落
3 商人の国オランダの勃興
ネーデルラント北部七州の反乱
アントワープの繁栄
アントワープの衰退
アムステルダムの勃興
オランダの増殖型産業
オランダ商人vs.スペイン帝国
国際為替銀行・アムステルダム銀行
繁栄とは裏腹に……
オランダ東インド会社
株式会社の起源
英蘭戦争
インドネシア争奪戦
バンダ諸島占領
マラッカの占拠とチモール島の支配
植民地支配の傷あと
第2章 植民地の拡大と移民の大移動
1 奴隷貿易と植民地の拡大
イギリスによる奴隷貿易の独占
奴隷貿易と製糖産業
エリザベス女王と海賊ドレーク
奴隷貿易の全盛期
奴隷貿易とブリストル
三つの三角貿易
最初の北米植民地
北部植民地と奴隷制
白人奴隷から黒人奴隷へ
アイルランドからの移民
保護貿易とイギリスの海上覇権
2 非ヨーロッパ世界の構造変容
金より綿
世界市場で交換できる最初の工業製品
キャラコ論争
イギリスvs.フランス
徴税権の獲得
インド貿易の崩壊
なぜアヘン貿易がはじまったのか
アヘンと『南京条約』
『天津条約』と『北京条約』
イギリス保護貿易の終了
3 移民による国家の建設
先住民の暮らし
イギリスの北米植民地建設
イギリス人入植者の目的
イギリスの財政難と植民地
ボストン茶会事件
先住民の苦境
アメリカの領土拡張
アメリカ資本主義の形成
第3章 アメリカのヘゲモニー
1 奴隷国家からの出発
売買される広大な先住民の土地
奴隷と綿花王国
南北戦争と産業構造の転換
経済発展の原動力
鉄道の役割
鉄道債と金融業
鉄道会社と政治家
奴隷解放宣言
ジョンソンの反動
奴隷制の復活
2 領土拡大と植民地
植民地にかわる国内市場
西部の農民と国法銀行法
金メッキ時代
労働者の内訳
生産力の驚異的発展
フロンティアの消滅
ハワイと砂糖プランターB・ドール
キューバの植民地化
フィリピンの獲得
3 第一次世界大戦とアメリカ合衆国
ヨーロッパ諸国による世界の分割
ベルギーとポルトガル
レオポルド二世の陰謀
ベルリン会議とアフリカ諸国
タンジール事件
ドイツの台頭
ビスマルクの保護関税貿易
なぜドイツは自由貿易をやめたのか
戦争がアメリカ経済を潤した
アメリカの参戦
アメリカと連合国
国家と戦争経済
債務国から債権国へ
ドイツの敗戦と「委任統治」
日本の領土拡張
サイクス ピコ協定と中東問題
ドイツ経済の崩壊
ドーズ案
4 大恐慌とニューディール
国際連盟の現実
アメリカ共和党政権の性格
高関税保護貿易
ブロック経済圏の形成
相対的安定期のアメリカ
アメリカ資本への依存が高まるドイツ
ヒトラーとアメリカ資本
大恐慌とローズベルト
緊急銀行法
農業調整法(AAA)
全国産業復興法(NIRA)と緊急救済予算法
ワグナー法
大幅な景気後退
第4章 世界経済構造の変質
1 世界恐慌と第二次世界大戦
不健全な社会
貿易政策の転換
自由貿易と互恵通商政策
第二次世界大戦
日本の満洲侵出と枢軸国
アメリカと総力戦
戦争の帰結と世界
軍産複合体制
2 アメリカの世紀とグローバル資本主義
ドル本位制の確立
金融自由化政策の意味
自由貿易協定と冷戦の開始
日本のGATT加盟
国連貿易開発会議(UNCTAD)
石油輸出国機構(OPEC)の石油戦略発動
資源国はなぜ工業化に失敗したのか
アメリカの金利引上げと途上国の債務問題
3 国家の衰退とグローバリゼーション
ニクソン・ショックとアメリカ経済の凋落
日米経済摩擦
米国による日本の市場開放
世界経済の変質
北米自由貿易協定(NAFTA)
資本主義国中国の誕生と「一帯一路」
多国籍企業と東アジアの奇跡
カジノ資本主義
新自由主義
国境を越えるマネー
トランプ政権の通商政策
保護貿易は悪なのか?
アップルのiPhoneの値段はどのようにして決まるのか?
アメリカは世界最大の海外直接投資国
富める者は富みつづける
国家と企業
おわりに
関連年表・索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おせきはん

23
途中まで貿易の世界史というよりも単に世界史をたどっているように感じましたが、戦争がなくなり、貿易で富を得る行動の主体が国家から企業に変わったのが最近であることに気づき、最後には納得しました。2021/06/12

かんがく

11
内容としては高校世界史+α程度。研究書や史料からの引用が多いのが特徴。2021/12/04

Go Extreme

2
貿易の主役 双方に利益 多国籍企業 国際貿易の構造 近代世界と貿易:大航海時代の幕開けとポルトガル スペイン 商人の国オランダの勃興 植民地の拡大と移民の大移動:奴隷貿易と植民地の拡大 非ヨーロッパ世界の構造変容 移民による国家の建設 アメリカのヘゲモニー:奴隷国家からの出発 領土拡大と植民地 第一次世界大戦とアメリカ合衆国 大恐慌とニューディール 世界経済構造の変質:世界恐慌と第二次世界大戦 アメリカの世紀とグローバル資本主義 国家の衰退とグローバリゼーション2021/04/16

Euphoria

1
#福田邦夫 著 #貿易の世界史 5日前程に読了致しました 長かったですね…341頁でした 中世期から中国の一帯一路迄 幅広くこの本は綴られていました 昔の貿易には血塗られた 戦争なくては無かった という事がよく解った本でした 読んでいて決して愉しい書物では ありませんでしたが 勉強になりました 2022/03/05

akiakki

1
一応貿易をテーマにしているが、早々に貿易=貿易収支と関税による説明のみになる。全体的に少し詳しい近代史程度で学びは少ない。アメリカ独立から開拓の下りと無駄にページを割いてる植民地化における現住民虐殺の描写いる? 2022/02/22

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