アンダーランド 記憶、隠喩、禁忌の地下空間

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アンダーランド 記憶、隠喩、禁忌の地下空間

  • ISBN:9784152099792

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内容説明

ウェインライト賞、スタンフォード・ドルマン紀行文学賞、ナショナル・アウトドア・ブック・アワード(自然史部門)受賞作。ニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ「今年の注目書籍100」、およびガーディアン紙が選ぶ「21世紀ベスト・ブック100」に選出。 英国の丘陵の下に広がる恐ろしくも美しい洞窟、鉱山の地下深くのダークマター観測所、カルスト地形の地下を流れる川、大戦の傷が残るスロベニアの山地、氷河が解けつつあるグリーンランドの青い氷穴、北欧の島の地下に作られた核廃棄物の墓――英国の優れたネイチャーライターが様々な土地の地下と、そこに関わる人々の思いをたどる。数々の賞を受賞したアウトドア文学の傑作

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

36
素晴らしい。扱っているテーマとしては、こちらも8月に邦訳が発売されたばかりのウィル・ハント『地下世界をめぐる冒険』に似通っているが、この本は更に掘り下げ踏み込んでいる(これ以上に相応しい言葉があるだろうか!)。自然のみならず文化面から見る広範で深遠なる地下、人間の精神との関係性、想像するだに圧倒される世界。文章も詩的で大変美しい。原書のままのカバーデザインも大変好み。大切にしたい一冊。2020/12/01

kazi

32
美しい装丁に惹かれて読んでみました。本著は私たちの足下に広がる地下世界と、人間世界との関わりについて書いた紀行文学です。地下を語りながら引き合いに出される、神話・伝承や音楽に関する記述が非常に印象的。太古の昔から人々は、大切なものを守るために地下に“埋葬・貯蔵”し、また同時に忌むべきものを忘れ去るために地下に“廃棄”してきた。著者が訪れた大都市パリの足下に広がる地下世界“カタコンブ”や、フィンランド・オルキルオト島の地下に作られた核廃棄物の地下処理施設“オンカロ”に関する記述が特に興味深かった。2021/12/19

くくのみ

19
新しい発見の連続だった。地底での人の活動や、地下を巡る歴史や植物たちの謎に満ちた営み、地球温暖化による氷河の減少や放射性廃棄物の問題。それらを著者と共に地下に潜り、山を越え、そのときどきで人々の営みに触れているようだった。温暖化にしても海面の上昇や生態系への影響程度しか知らなったが、現在どのような影響が出ているのかを知ることができた。放射性廃棄物も地下に埋められた後、途方もない時間の中で忘れ去られる可能性がある。その時に掘り返されないとは限らない。知っているように思っても、知らないことが多いのだと気づいた2021/06/07

ハルト

13
読了:◎ さまざまな地下世界を巡って。世界には色々な質感の地下世界が呼吸し、存在しているのだと知る。イギリス、パリ、イタリア、スロベニア、ノルウェー、グリーンランド、フィンランド。地面に都市に鍾乳洞に氷河に。それらは、過去と繋がり現在へと至る、記憶の世界でもある。神話的世界を辿るように、奥へ奥へ深く潜っていく。まだ見たことのない世界を求めて、世界を下っていくワクワク感。世界はなんて奥深いものなのだろう。閉所恐怖症の気があるので自分で行くことはできないけれど、この本の地下世界たちを映像で見てみたいなと思った2021/03/18

qoop

10
人間の手になりながら封印され、忘れ去られ、あるいは限られた人々にしか知られない地下。人間の手が入らない晦冥の、未知の、それだからこそ人を惹きつけてやまない地下。人工/天然の地下世界と、そこへの探究心に取り憑かれた人々を追った本書。人工/天然の地下世界と、そこへの探究心に取り憑かれた人々を追うルポ。圧倒的な閉塞感のうちに拓けていく未知の可能性に惹かれる心性は、一面で分かると云いたいのだが、反対に怖くて近づきたくないとも感じる。日常を飲み込む魅力と畏怖と……2022/01/27

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