内容説明
清の皇帝・乾隆帝（けんりゅうてい）の第十七皇子・愛新覚羅永 （あいしんかくらえいりん）お抱えの嵂點厨師（パティシエール）見習いとして北京で働く仏華ハーフのマリー。だが、永 の意向で増えることになった新しい厨師たちは女性が厨房にいることに懐疑的。マリーは彼らを認めさせることができるのか 春節用お菓子作りに料理競技会、はたまたバレンタインまで！ 行事目白押し、そして強烈キャラ登場の、中華美食浪漫第二弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅてふぁん
49
永璘の意向で厨師が増員され、新しく入った上司から目の敵にされるマリー。何とか認めてもらいたい一心で奮闘するが、誤解から大騒動を起こしてしまって謹慎処分に。異国人、しかも欧華のハーフで女性ということがどうしても受け入れならない文化の中では本人がいくら奮闘しても、男性厨師たちの根底にある差別意識は覆せない。この物語は登場人物の関係性だけでなくフランス菓子のレシピや點心、そして異分子を認めない厨房の中でマリーがどれだけ自分を貫き通せるのか、と色んな楽しみ方ができる。次巻も楽しみ。2020/10/05
よっち
42
永璘お抱えのパティシエール見習いとして北京の彼の屋敷で働く仏華ハーフのマリー。彼の意向で増えることになった新しい厨師たちは女性が厨房にいることに懐疑的で、くすぶり続ける状況で事件が起きる第二弾。文化や価値観、ものの考え方がいろいろ違うフランスから清に連れてこられたら、マリーも分からないことは気づけないし、ようやく周囲の状況を知って、彼女の立ち位置も思っていた以上に危ういものだったことを痛感した今回の展開で、先々を考えるといい経験だったし、今気づけて良かったのかもしれないですね。いろいろ気になる続巻も期待。2020/05/18
優希
40
マリーは歓迎されるどころか、厨房にいることに懐疑的なのですね。彼女を認めてもらえるかドキドキしてしまいます。春節用のお菓子大会がバレンタインは出来過ぎですね。さからこそ甘いお菓子が作れるのでしょうけれども。マリーは王宮に馴染めるのか気になって仕方ありません。2023/09/16
kagetrasama-aoi（葵・橘）
36
「親王殿下のパティシエール」第二巻。副題は「最強の皇女」。上司の高厨師は責任感もあり理解のある人物で、このままマリーは菓子作りの修業を順調に続けて行くのか、と思いきや。新しく加わった王厨師による女性蔑視と人種的偏見！暴動寸前の騒動！硬派な内容でちょっと驚きました。でも、皇帝に一番可愛がられている和孝公主との出会いが良い方向に行く布石だと信じます。マリーも、お菓子作りだけではなくもう少し行儀作法も学んだ方が活きやすくなるよね、きっと。可愛らしい表紙絵がとても素敵です。2023/10/16
りー
30
お茶の香りと点心。甘い洋菓子の香り、儚い歯ごたえ。あぁ、美味しいものが食べたくなる…。厨房に受け入れられたと思ったマリーですが、人手不足で新しい厨房長が来たことから、受難がまた始まる。マリーの立場は、当時の「普通」の人からすると、イレギュラーで絶対に許せないだろう。現代日本だって、まだまだ既知の分類に収まらない人間を忌避する傾向は強い。そのガッチリ閉められた門をを壊していけるのは「食文化」の強みだよなぁ～と思います。美味しいものを生み出せる人だからこそ、未知の味に込められた文化の粋が分かる。2021/05/01
