内容説明
若槻礼次郎暗殺未遂に関与したプロボクサーを父に持ち、多様な人脈の中で育った野口。彼はタイのムエタイを「キックボクシング」として日本に持ち込み、沢村忠を擁して一大ブームを巻き起こす。さらに、まだ無名だった五木ひろしを日本レコード大賞歌手に育てあげた――。伝説の興行師の足跡と共に刻まれた、壮大な昭和裏面史を描く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
61
久しぶりの二段組み、ページ数も550を超える長編です。タイトルにある沢村忠さんは、子供の頃のヒーローです。パッと咲いてパッと散った印象ですが、しっかり記憶に残っています。著書は沢村忠を歌手五木ひろしをプロモートした野口修の評伝です。芸能もスポーツも興行であることをあらためて実感します。興味のない方にはこの長編は苦痛でしょうが、私はどんどんページが進みます。面白いです。2021/04/09
AICHAN
34
図書館本。ボクシングプロモーターの野口修は、ムエタイ(タイ式ボクシング)を日本に導入しようとして、まず空手家の山田辰雄に打診する。当時、山田辰雄は実際に打ち合う日本拳法空手道を始めていた。しかし断られ、極真会館の大山倍達に話を持っていく。そこでも断られ、当時、「蹴りの天才」と言われていた日大空手部の白羽秀樹(後の沢村忠)を空手対ムエタイの試合に出場させる。一戦目は勝ったが二戦目で惨敗し、白羽秀樹は野口修の称したキックボクシングの世界に突入する。私が空手に目覚めた時代の話だけに夢中で読んだ。→2024/12/31
nonpono
32
10代の時、山口洋子先生のエッセイや小説を背伸びして読んだ。集めた。なぜだろう。当時、好きだった年上の男が夜の蝶のお店に通っていたからかな。そして山口先生の歌詞が好きになった。先生のそばに誰かがいる気配は感じたがそれがあの沢村忠のプロモーターの野口さんで老老介護まで続くという大河ドラマだとは。本書は沢村忠が軸だが、わたしにとっては30年ぶりの謎が氷解するような、山口洋子の物語である。🎵折れた煙草の吸い殻であなたのうそがわかるのよ、は皮肉じゃなくて、包み込むような愛に新しく聞こえてしまう。泣きました、嗚呼。2024/04/27
tetsubun1000mg
17
「沢村忠に真空を飛ばせた男」というタイトルに引かれた。「飛ばせた」とは意味深なタイトルだが、昔TVで見た試合を思い起こしてみるとなるほどと思う。 内容は沢村忠の話は1/3くらいの分量で副題「昭和のプロモーター野口修評伝」そのもの。プロボクシングのマッチメイクからタイ式ボクシングに出会って日本にキックボクシングの一大ブームを起こす。 知らなかったのだが五木ひろしを世に出したのも野口氏だった。表には出てこないがこんな人たちがブームを作ってたんだ。昭和のプロスポーツと芸能界をステージ裏から覗いているような気分。2021/08/29
imagine
17
読んでいない時間が惜しく、断酒して完読。カバーの袖にある安部譲二の言葉「蓋をしたものを開ける」という仕事を、刮目すべく読み進めた。著者は周知の事象を羅列するに留まらず、野口修が語ろうとしない事柄をとことん突き詰める。読んでいる間中、取り調べ室にいるかのような緊張感を感じた。その執念は周辺の人物に対しても徹底的。広島の山奥まで趣き、取材相手を観念させ店を閉めさせるシーンは白眉だ。著者が全身全霊で伝えた、誰にも真似できない野口修の人生。起業テクや投資術の本など投げ捨てて、昭和の豪傑譚に酔いしれるべし!2021/02/22
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