内容説明
感性豊かな人気作家の読書日記とエッセイ。文学とは、楽しみの一つの形式である、という警句そのまま、表現・言葉の知的遊びの世界を好む著者から、本を読む人々への、ユーモアと優しさにみちた呼びかけ――徹底的に、断固として、非妥協的に本を読む。文学が芸術であるように、読書もまた創造的芸術である、と考える著者の、読書への愛着。作品の中から美しさを引き出す、感受性と能力を持つ読み手となるための、数々の工夫。現代人の密かな思いをとらえて選ばれた本の、楽しい読書法と、身辺を語るエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
29
☆☆☆ 一番面白かったのは「荻窪タイムス」次に「今月の十大ニュース」。無邪気なパロディは高橋源一郎の真骨頂。反面、「60年代のおもちゃ箱」は私の知識がないせいか、ひとりよがりに感じてつまらなかった。2019/12/06
ちぇけら
20
ぼくが生まれる前にゲンイチローさんが書いた、ぼくが生まれる前の本や、ぼくが生まれる前に行った旅行についてのエッセーなはずなのに、どうしてだろう、今この瞬間に語りかけられている感じだ。とはいえ文学論なんかはてんでわからないので、語りかけられたところでこまっちまうさ。2018/01/05
hirayama46
3
旅行記やテレビに関する話題もありますが、やはりメインは本の話であり、たぶん(少なくともこの当時の)高橋源一郎にとって何より重要なのは本であったのだろうな、という情熱の傾け方でありました。中上健次や谷川俊太郎を巻き込んでの学級新聞みたいなものも楽しいですね。2021/02/25
oz
3
再読。「徹底的に、断固として、非妥協的に本を読む」。読書を創造的芸術と位置づける著者の本への(偏)愛ぶりが伝わる刺激的なエッセイ集だ。蓮實重彦文体での東武東上線批判、BGC(バック・グラウンド・シネマ)つまり本を読みながら観る映画という新機軸を創設、資本論を朝歯を磨きながら読むスタイルを提示、その一方で氾濫する「ポスト・モダン」という概念を舌鋒鋭く斬る。故中上健次氏の陽気な草野球姿が収められていたのが良かった。2009/08/30
祐紀
2
当時の香りがぷんぷんする。2010/06/12