内容説明
引退を決意した古代ブリテンの老王リア。財産分与のため三人の娘に自分への愛を競わせるが、美辞麗句を嫌う三女コーディーリアに激怒し勘当する。だが長女と次女の結託により、自らも嵐の中へ閉め出されてしまう。全てを奪われたリアは絶望の旅の途上、欲望と裏切り、飢えと苦しみ、真の忠誠と愛に気づくが――。シェイクスピア四大悲劇の中で最も悲劇的と言われる傑作。改訂版の全訳に初版の台詞、徹底解説を付した完全版!
【目次】
新訳 リア王の悲劇
詳注
クォート版にあるが、フォーリオ版で削除された台詞一覧
クォート版になく、フォーリオ版で追加された台詞一覧
『レア王年代記』、トルストイ、オーウェルについて
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Tigertiger
25
今度、芝居を見るので久々にシェイクスピアを読んでみた。とにかく死ぬ、善も悪も関係なく。つまりは善も悪もないということ。2026/01/10
田中
23
子を愛する盲目さと自己の傲慢さから娘たちの真意が見抜けなかったリヤ王の愚行が破滅の発端。長女と次女の底なしの欲望は醜悪だ。父親から財産さえもらえば、もうご機嫌伺いの巧みな演技も不要なのだ。感謝の意識はこれっぽっちもない。手のひらを返すように父親を疎んじ約束を反故にするのだ。もらえるものを、もらえば、後は切り捨てた。彼女らの色欲につけこんで情夫エドマンドが国主の座を狙う。野望と貪欲さにまみれた身内が三人もいれば争いは必至だ。三女コーディーリアだけは父親思いの優しい娘。純粋な美徳ゆえに悪に絡め取られる。 2025/12/28
フラチキさんです
5
★★★★☆ 作者さん5冊目。なんとなく読みづらかった作品。角川文庫版のロミジュリが読みやすくて手に取ってみましたがこちらの注釈の量は中々の量。基本的に登場人物が狂っていたり腹黒だったりと読んでいて混乱するフレーズがいくつか飛び交うせいで私は少しだけ読みづらかったです(ハムレットよりはまし)。しかし絡みに絡みあった思惑のぶつかり合いは醜いものがありますね。所々に時代による差別感が滲み出ていてそこも面白かったです。なんやかんや一気読みです。2023/05/16
nightowl
4
光文社新訳文庫を読んだ際はプロットが錯綜していると感じた。しかしこちらのフォーリオ版だけで訳されたものは整然としている分物足りなさがある。擬似裁判の場はごっそりカット。多くの人が集まり混迷する世の不条理ぶりは折衷版の方が表現出来ているのでは...訳が分からないのに人を惹き付ける力も幾分か削られてしまったような。横内正版、英国ナショナルシアター版の長丁場を俳優の演技力で成り立たせるものを見ているだけにそつなくまとまりすぎている印象を拭えない。2024/08/16
よし原
3
本文の約四分の一が注釈だ。これが原文の解説だったり、他作品との関連を示したり、文字通りの劇的な事柄であったりと、行き届いている。また、河合祥一郎訳は、押韻やハーフラインを日本語で再現し、台詞の音楽性を保つ。『リア王の悲劇』はわざとそれを乱す場面がいくつかあるので、登場人物の心の揺れがより伝わりやすい。劇のキーワードは「Nothing」で、コーディーリアをはじめ多数の者が様々な場面でこれを口にする。徐々にすべてを失っていくリア王は、舞台にいないときもやはり主役なのだ。身から出た錆もここまで来ると喜劇的だが。2021/08/15




