ウィズ・ザ・ライツ・アウト ヴェルノン・クロニクル1

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ウィズ・ザ・ライツ・アウト ヴェルノン・クロニクル1

  • ISBN:9784152099723

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内容説明

かつては伝説のレコード店主、いまや哀愁のカウチサーファー。五十路の男ヴェルノンがたずね歩く旧友たちの心にも、90年代の輝かしい記憶が響きつづけるのであった。パリの片隅で生きる人々の哀しさと滑稽さを音楽が彩る、現代版・バルザック『人間喜劇』と称される文芸三部作、開幕。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

104
辛口の感想で失礼。ビート・ジェネレーションには遅れて生まれて、そこに潜り込み、挙句の果てにミッドライフクライシス。何か高揚するものを求めると、結局昔に騒いだヤツらをグルグル回って、ドラッグ、セックス、噂話。そこに料理も加わってくるのがフランスと言えばそう。出てくる男たちに抱いた違和感は、作者が女性だからと読後に腑に落ちた。この作品を初めにクロニクルになるらしいが、「人間喜劇」と比較するか? 訳者がこの作家を褒めるのにすら、嫌気がさす。BLMに参加したことは、得点ではないよ。2021/01/21

ヘラジカ

53
ヴェルノンという一人の男をキーパーソンにした一大群像劇の第1巻。古典的と言っても良いほどに高精細な人物造形、愛すべき負け犬が玉突きのように人生を動かしていく華麗な物語。うーん、これまた唸るような逸品だ。多様な人々の些細な行動によって活写される現代フランス社会に少し圧倒された。哀れで惨めな男なのに憎めない、それどころかほんの数ページで好きになってしまうヴェルノンの面白さよ。小説を読んでいて感情移入という言葉を思い浮かべたのは随分久しぶりかもしれない。予期せずして今年のベスト候補に躍り出た傑作。 2020/10/17

松本直哉

17
知らない固有名詞ばかりで訳注も最小限なのにぐいぐい読ませる。終盤に出てきて、主人公に因縁をつけている極右の青年たちをボコボコにして自分の胸を拳で叩く大柄なホームレスのおばさん、「キングコングセオリー」の権化のような女性の「私はただ働きたくないだけなんだ」がかっこいい。時代に取り残され無所有になって漂流する冴えない中年男の前を通り過ぎる人々には、あらゆる矛盾、暴力・セクシュアリティ・薬物・極右と極左・貧富の格差が刻印されて、それら全てを飲み込むパリという街を映し出す。諸々の伏線が宙吊りになったまま第2巻へ。2025/05/19

mim42

3
毎度他の誰かと比べるのも芸がないが、ベケット三部作と同じような読後感。エントロピーが増大し続けるので読むペースも上がらない。Web時代、もはやパリもニューヨークも東京も変わらない。多数の外部参照は関心事の一つだが、ナパームのくだりでナパームデス、ラスト近くに登場したジャニス、ジミヘン、ウィンウッドの三連鎖に反応した。作者の思想的立ち位置だとかなんとかismだとか面倒くさそうなことには興味無い。ベケットより狂っていない分読みやすくて。で、帯に大きく描かれていた「カート・コバーン」は何の関係があるのか問題。2021/05/26

junne

2
先日読んだ『アポカリプス・ベイビー』が最高だったので、ずっと積んであったこちらに手をつけた。あっちに比べるとドライブ感みたいなものは劣る気もするけど、現代のバルザック「人間喜劇」という意味ではいよいよ本領を発揮した作品なのではないかな。続きも読まないと。ていうかこれ三部作なんだけどまだ3巻が出てないんだった(全部出てから読もうと思ってたのを忘れてた)2022/05/10

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