内容説明
「決して手を離してはいけないよ」 そう、言われていたのに――。
ある夏祭りの夜、祖母の言いつけを守らなかった八重子(やえこ)は、田舎町で過ごした数年間の記憶をなくしてしまう……。
時は過ぎ、祖母の死をきっかけに再び田舎町で暮らすこととなった八重子はそこに突然現れた男に失礼な言葉をかけられる。
「おまえ、面白いものをなくしているな」
二紫名(にしな)と名乗るこの男、どうやら八重子のなくした記憶について何か知っているようで──!?
記憶を取り戻すため、八重子は自らを神使の狐だと名乗る二紫名と祖母ととも過ごした田舎町を奔走する。
記憶が戻った時、八重子の心に残る感情は果たして──。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
葵@晴読雨読
34
面白かった〜!!一気読みです。 ある理由から昔の記憶をなくした女子高生八重子が、記憶を返してもらう為に白狐の二紫名と一緒に祖母と関連する道具の名前を探していく。 とても読みやすかった。2022/01/09
ミヤビ
31
八重子は祖母と過ごした記憶を取り戻す為、白狐の二紫名などの妖たちと共に祖母に関する道具を集めていく。 田舎ののどかな雰囲気と、だんだん明らかとなる祖母との関係性とが相まってノスタルジックな気持ちにさせてくれる。妖ものでこんな気持ちになったのは初めて。今までと違ってあたたかい気持ちになってとても新鮮でした。八重子のように記憶を失ったまではいかないけれど、幼い頃に大事に可愛がってもらった記憶を忘れて、祖父母との関係が遠くなってしまうことってあるあるだと思う。いつかくるその日まで祖父母のことを大事にしたい。2022/05/08
dolce vita
20
能登に詳しくないので、いまいちこの土地が感じられず物足りなさが残る。せっかく地名を明らかにしているのだからもっと推して欲しかったと思うのは欲張りなのか。登場する妖はどれも麗しさが勝り怖くない。ヒトに紛れて暮らすのも当たり前のような自然さがある。が、やっぱり全体的に少し薄い感じがするのが残念。#NetGalleyJP2020/08/12
昼夜
17
母の田舎が能登の近くなので方言が一緒だから読みながら亡くなった祖母や親戚を思い出します。能登は東京より空気が澄んでてのんびりしてて夏休みの時はつまらない感じがしたものですが、今は祖母の家もなく冠婚葬祭でしか行くことはないので子どもには解らない贅沢な時間だったのだなと祖母の料理をもう一度食べたいものです。2021/12/19
にゃうぴょん
13
面白かったです。祖母の死をきっかけに田舎で暮らす事になった八重子さんと白狐ニ紫名さんの失った記憶を探すお話です。田舎の風景や人々の雰囲気が良く引き込まれました。続きがあれば読んでみたいです。2020/10/29