計算論的精神医学 - 情報処理過程から読み解く精神障害

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計算論的精神医学 - 情報処理過程から読み解く精神障害

  • 著者名:国里愛彦/片平健太郎
  • 価格 ¥3,850(本体¥3,500)
  • 勁草書房(2020/11発売)
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  • ISBN:9784326251315

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内容説明

現在の精神医学は、疾病分類が生物学的知見に基づいていない、生物学的知見と臨床症状の間に説明のギャップがあるといった問題を抱えている。これらを克服するため、計算論的精神医学にはアメリカのNIMHをはじめ国際的な注目が集まっている。理論、方法論、そして具体的な適用事例という3部構成により、この新たなアプローチを解説。

目次

まえがき

第1部 理論編

第1章 精神医学の基本問題
 1.1 はじめに
 1.2 疾病分類学の問題
 1.3 バイオマーカーの問題
 1.4 説明のギャップ(異なるレベル間を橋渡しする理論の不在)の問題

第2章 計算論的アプローチ
 2.1 はじめに
 2.2 Marr の3つの水準
 2.3 計算論的精神医学
 2.4 計算論的アプローチの利点
 2.5 計算論的心身医学と計算論的臨床心理学

第3章 計算論的精神医学の方法
 3.1 計算論的精神医学と生成モデル
 3.2 計算論的精神医学で用いられる生成モデルと研究方法
 3.3 生物物理学的モデル
 3.4 ニューラルネットワークモデル
 3.5 強化学習モデル・ベイズ推論モデル
 3.6 計算論的精神医学の方法論の洗練化に向けて

第2部 方法論

第4章 生物物理学的モデル
 4.1 はじめに
 4.2 神経系,ニューロンの概要
 4.3 代表的な生物物理学的モデルの説明

第5章 ニューラルネットワークモデル
 5.1 はじめに
 5.2 ニューラルネットワークモデルの動作原理
 5.3 ニューラルネットワークモデルの学習
 5.4 時系列情報を扱うニューラルネットワークモデル:リカレント・ニューラルネットワーク(RNN)
 5.5 連続時間型リカレント・ニューラルネットワーク(CTRNN)
 5.6 多時間スケールリカレント・ニューラルネットワーク(MTRNN)
 5.7 初期値敏感性,パラメトリックバイアス,トップダウン的予測とボトムアップ的修正
 5.8 適応行動の計算理論「予測符号化」・神経ロボティクス

第6章 強化学習モデル
 6.1 はじめに
 6.2 行動価値にもとづく強化学習モデル
 6.3 行動データからの強化学習モデルのパラメータ推定
 6.4 状態価値に基づく強化学習モデル
 6.5 強化学習モデルにおけるモデル選択
 6.6 状態遷移,遅延報酬を扱う強化学習モデル
 6.7 TD 学習
 6.8 モデルフリー強化学習とモデルベース強化学習
 6.9 強化学習とその神経基盤

第7章 ベイズ推論モデル
 7.1 はじめに
 7.2 ベイズ推論
 7.3 カルマンフィルター
 7.4 階層ガウシアンフィルター
 7.5 自由エネルギー原理
 7.6 おわりに

第8章 疾病分類・研究方略への計算論的アプローチ
 8.1 はじめに
 8.2 現状の疾病分類・研究方略
 8.3 計算論的精神医学による疾病分類・研究方略への貢献
 8.4 展望

第3部 精神疾患への適用事例

第9章 計算論的精神医学の具体的研究事例
 9.1 統合失調症の計算モデル研究
 9.2 気分障害の計算モデル研究
 9.3 自閉スペクトラム症の計算モデル研究
 9.4 強迫性障害の計算モデル研究
 9.5 心的外傷後ストレス障害の計算モデル研究
 9.6 物質使用関連障害の計算モデル研究

第10章 生物物理学的モデルを用いた計算論的精神医学研究
 10.1 はじめに
 10.2 ニューロン群の持続的活動の解析研究
 10.3 Rolls らのアトラクターネットワークモデルによる研究
 10.4 脳のラージスケールシステムのモデル研究

第11章 ニューラルネットワークモデルを用いた計算論的精神医学研究
 11.1 はじめに
 11.2 ニューロン新生とうつ病
 11.3 シナプス刈り込みと幻覚・妄想
 11.4 ニューロンゲインと文脈的情報処理の異常とドーパミン
 11.5 階層的な神経回路の階層間の機能的結合の異常と統合失調症の病態メカニズム
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Jau

0
面白い。分かったらもっと面白いだろうな。 2010年頃から盛んに行われてる研究分野らしい。 Marrの3水準を(多分)統合して考える。(時計なら時を知るとの目的、水やクォーツなど方式、歯車等が動くことが3水準に対応。 人ならデータは認知課題、脳画像、生理学から得られ、対応する生成モデルはベイズ推論、神経回路モデル、薬の作用、等。 精神医学は指標もなく未解明な点が多いことや、生物学的モデルに立つことと、この本の前提(限界)を示してあるのが誠実だ。2024/03/15

オノーリョア

0
専門研究に使おうかなと。理解するのは難しいが、一から計算論的アプローチを学ぶこと、精神疾患のモデル化にどう使えるかを学ぶことにはおすすめできる。2022/01/21

ᚹγअәc0̸א

0
強化学習とニューラルネットワークの基本を学ぶ機会にも使えるのが有難い。ニューロロボティクスでニュロロロロロ。精神障害の病態生理に関する数理モデリングのデモンストレーションにローレンツ方程式を用いた初期の研究例はなかなか示唆的。潜在変数としてBeckうつ病尺度(BDI)が使えるのは嬉。

STEM読書会

0
計算論的精神医学とは数理モデル、具体的には生物物理モデル、NNWモデル、強化学習モデル、ベイズ推論モデル等を使って、精神異常を計算論的に説明し、疾病の分類、バイオマーカーの特定等に役立てることを目指す学問である。 詳しくは下記の動画をご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=P59ynm7_4Uo2020/01/21

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