内容説明
建久九(一一九八)年、木曾義仲の娘で十七歳の文殊は、長女の大姫を亡くした北条政子の世話のため、京から鎌倉へやってきた。住まいは大姫が住んでいた小御所。秋なのに桜の花びらが舞うその庭で、文殊は桜の精霊のような少年と出会った。その人こそ、源頼朝の嫡男・頼家。彼の命で、名を桜子と変えた文殊は……。激動の時代に消えた悲恋を描く歴史ロマン。※イラストは収録されていません。
目次
不思議桜
風の道
かげろう
冬の鼓動
迷い子たち
罠へ
紅蓮
修善寺ものがたり
空耳の果て
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
39
竹の御所の鞠子の両親(頼家と木曽義仲の娘)の物語。2021/07/04
シュウ
7
翻弄されながらも、生きた。2017/12/26
コルネリア
2
雪の系譜の鞠子の母の話。リアルタイムで読んでいた時には鎌倉時代の歴史を良く分かっていなかったので、再読して良かった。2022/06/09
木花さくや
1
倉本先生初期の作品を初読。鎌倉幕府二代目の将軍・頼家と、木曽義仲の娘である桜子の恋物語。初期作品の方が文章が固いことに驚き。フィクションより史料を優先して書いている印象なので、要所に説明文らしい固さが残る。しかし、桜子と頼家の痛いくらいの報われない恋は、非常に倉本先生らしいと思った。もしも二人に次があるのなら、時代の波に翻弄されず、素直な心で出逢って欲しいと思う。2014/12/30
十波@灯れ松明の火
1
切ない。自分を上手く表現できないまま成長して、時代に翻弄される。悪いのは誰なんだろう?と考えてしまう。2009/08/04