内容説明
「普通の飛脚屋では扱えない『曰くつき』の品であること」「お代はお客自身が決めること」そんな二つの条件に見合った品だけを届けてくれるというのだ。三十日屋を営むのは年増の女性・お静。とある過去を抱えているようで――
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
88
隠れ町飛脚 三十日屋 2020.10発行。字の大きさは…小。 初恋の思い出、若旦那の大望、桜と幽霊、亡き妻への文の短編4話。 隠れ町飛脚屋「三十日屋」を開いたお静の人情物語です。 お静が仕事を受けるには、二っの条件があります。一つは普通の飛脚屋では請け負えないと思われる「曰くつき」の品であること、もう一つは、お代はお客様がご自身でその品に見合う額をお決めになること。これに基づいてお上に隠れて細々と飛脚屋を営んでいます。 「初恋の思い出」が良いです。淡い初恋の想いを胸に、嫁ぐ娘の気持がいじらしいです。2021/01/17
真理そら
68
いきなり物語の中に飛び込まされるので、登場人物の名前が出る度に「ダレ?」という気分に陥る。「~町飛脚」というタイトルだがどちらかと言えば日常の謎をめぐるコンサルタント的な話で楽しく読める。ヒロイン・静の境遇が辛すぎる。家事の経験のないお嬢様育ちの上に精神的にも不安定な静をなぜあんな場所で一人暮らしさせているのか、妹が継いでいる実家との関係は等々まだはっきりしない部分も多い。これは次巻以降で納得できるような話の流れになるのかもしれない。2021/06/03
がらくたどん
59
どう見ても良家の奥様風な佇まいなのに「隠れ町飛脚」とな?この雰囲気で無許可飛脚を営み「曰くつき」の品を扱うと?謎過ぎて逡巡している時に惹かれるご感想を拝見しイザ!第1話、主人公のお静さんの人となりがさっぱり分からん。しかもこれは「お遣い代行」で飛脚じゃないのでは?どうしよう。ところがです。第2話、若者の「曰く」が真っ当な大人の「思惑」に包まれて暖かい。第3話、ちょっと謎めいてザワザワがヨシ!そして第4話。依頼主の造形と言い文の宛先と言い(まさに冥途の飛脚♪)実に良い。尻端折りはしないけど面白さは尻上がり♪2023/07/26
のびすけ
28
鷹山悠さんデビュー作。女性作家さんです。お静が営む飛脚屋・三十日屋は、普通の飛脚屋では扱えない「曰くつき」の品を届ける。「曰くつき」というだけあって、送る側も受け取る側もいろいろと厄介ごとを抱えていて、一筋縄ではいかない。お静自身つらい過去を抱えながら、依頼を果たすためにあれこれと手を尽くす姿に惹き付けられました。お静をサポートする清四郎との関係や、長屋の人達との関係など、これから物語は膨らんでいきそう。続編やシリーズ化は予定されているのかな?ぜひ追っかけたいです。2021/01/20
fuku3
22
2021.7.6読了。鷹山悠氏初読み。ポプラ社小説新人賞奨励賞受賞作。曰く付きの文を運び、お代は客本人が決める隠れ町飛脚、三十日屋は年増のお静が営む!題名からアンダーグランドな必殺仕事人的な話しだと思ったがとても清々しい人情話!四篇の連作短篇。可もなく不可もなくそれなりには面白かったが、もう一工夫して欲しい!せっかく飛脚屋と云う設定なのだから⁉︎お静の悲しい過去を乗り越え今に至るのは理解出来るが、何故わざわざ隠れ町飛脚を営むのか⁉︎その理由が分から無い!お静を支える清四郎の気持ちは痛い程伝わって来た!2021/07/06