中公新書<br> 北朝の天皇 「室町幕府に翻弄された皇統」の実像

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中公新書
北朝の天皇 「室町幕府に翻弄された皇統」の実像

  • 著者名:石原比伊呂【著】
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 中央公論新社(2020/09発売)
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  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121026019

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内容説明

建武三年(一三三六)、京都を制圧した足利尊氏は新天皇を擁して幕府を開いた。後醍醐天皇は吉野に逃れ、二帝が並び立つ時代が始まる。北朝の天皇や院は幕府の傀儡だったと思われがちだが、歴代将軍は概して手厚く遇した。三代義満による南北朝の合一以降、皇統は北朝系が占めた。一見無力な北朝は、いかに将軍の庇護を受け、生き残りに成功したか。両者の交わりをエピソード豊かに描き、室町時代の政治力学を解き明かす。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

六点

115
北朝をタイトルに入れているせいか、それ以前の大徳寺・持明院統の迭立から、わかりやすく解説したあと、歴代足利将軍家と北朝の天皇とのお付き合いの話である。とは言え、南北朝を経て人心も随分と緩くなってしまった時代の話である。将軍家の御所と天皇の行在所が最終的に同居してしまい、行列を見せびらかすことに依って得られる権威が崩壊して、お互いの部屋でしこたま酒を飲むなどという事態に陥っている。では、織田信長まで時代が下ると、「将軍はちゃんと将軍らしい事して」というのである。信長くん学級委員長説であるなあ。2022/08/07

パトラッシュ

66
建武新政が失敗し衰退した後醍醐天皇と南朝については比較的知られているが、北朝の諸天皇は室町幕府の傀儡扱いされて名さえ定かでない。しかし実際は幕府の権威不足という弱みを補完することで庇護を得て、激動の騒乱期を生き抜いた。高く理想を掲げた敗者を愛し、地を這って泥臭く生きる現実主義者を嫌う日本人の心情に見事に合致したわけだ。しかし北朝方を貶す人が、どれだけ理想を貫いているのか。人は生きるためプライドを捨て、強い者に媚びへつらうのが普通だ。それを見事に演じ切った北朝の人物像は、民衆的心性に近いものを感じてしまう。2020/08/22

terve

56
南朝・後醍醐天皇に比して印象の薄い北朝について書かれた本です。一般的に南北朝時代といえば足利義満の時代に集結していますが、北朝天皇家が南北合一後もどう幕府と関わってきたかが書かれています。義政の時代に土御門天皇が強気であった以外は持ちつ持たれつのかなり良い関係を築いていたようです。歴史上では天皇家の扱いという点において重要な地点(江戸幕府の秀忠時代や幕末など)がありますが、室町幕府時代は全体を通して良い関係だったように思われます。何より筆致が軽快なのでオススメです。2020/08/02

南北

55
室町時代の政治史を北朝の天皇と武家政権との関係性から読み解こうとしている。北朝が武家政権からの支援を当てにする傾向があったのに対し、南朝は独自路線を行く傾向があって南北朝時代を迎えることになった。室町時代に入り、在京守護たちの支援を受けて、足利将軍家は皇室への支援と引き換えに「王家の執事」としての役割を果たそうとするが、応仁の乱を境に在地への支配強化が必要になった守護たちは京都から離れ、戦国大名へと変貌を遂げていき、足利将軍家も皇室への支援ができなくなってくる等の記述は興味深く読むことができた。2025/04/04

るぴん

52
図書館本。鎌倉幕府とも江戸幕府とも違う、天皇家と昵懇関係を築いていた室町幕府。自らの権威に不安があり、天皇家の執事として保障してもらう足利家。南北朝内乱で経済力を喪失し、将軍家に依存するしかない北朝天皇家という相互依存の関係が、南北朝の対立から分かりやすく解説されていて、とても面白く読めた。一時は同居するほど近しい関係だったからこそ、歴代将軍と歴代天皇の仲が個々人の相性によった、というエピソードの数々が面白い。「やるべきことをやる」将軍義満と「やるべきことをやらない」後円融天皇。そりゃあ反りも合わないわ。2021/02/09

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