内容説明
独特のダンディズムは何に由来するのか。BS-TBS「吉田類の酒場放浪記」ほか、多彩な活躍を続ける著者が綴った、大人の味の極上エッセイ。〈ふらりとのれんをくぐり、酒を飲み、客や店の主人と笑顔で語らう。どこでも自然体。自分をさらけ出すことができる点こそ彼の「人間力」なのだろう。おっちょこちょいでシャイなところもあるが、管理社会の中で何かとストレスを抱えている視聴者は「あんな風に飲めたら」とうらやましく思うにちがいない。まさに時代が吉田類という男を求めたのではないか。〉――巻末解題「現代の吟遊詩人の素顔」(小泉信一)より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえぽん
25
イラストレーターや俳人の顔を持つ酒場詩人によるエッセー集。自分も週末毎に銭湯めぐりと角打ち、立ち飲みを繰り返しており、著者に強く親近感を持ち入手。想像以上に文筆家、芸術家的な側面が見え隠れした文章だった。特に飲み歩きの情景を俳句、短歌、イラストに変換する様子や、現実世界と夢の区別を曖昧にして、あたかも非現実を現実のように記した部分に独特の魅力を感じる。多くの店は匿名化されているが、時々特定可能な店もあり、訪問したい気持ちがはやる。スタッフや飲み屋で遭遇する女性陣との交歓も興味深く、追体験した気になる。2023/11/29
roatsu
15
比較的最近の類さんが歩き、見聞きし、呑んだ風景を追体験できる素敵なエッセイ。芯はぶれないが融通無碍、自由自在という感じでやはりこんな風に年齢を重ねたいし何より元気でいたいと思う。昔の登山写真によく出る愛猫からし君とのエピソードが結構出てきて、亡き今も本当に大切にしているんだと目頭が熱くなった。たまの高尾山歩きで、前日の残り酒を散じつつ、いつまでも元気に酒場の芳醇な雰囲気を伝えてほしいと思う。2021/02/12
りょうけん
12
<凡> 本書の刊行は2020年。僕はほんの一か月ほど前にTBSの番組『吉田類の酒場放浪記』傑作選をAmazon Primeで偶然観てしまって吉田類のファンになった。けれど僕は普段テレビは全く観なくて一番の趣味は実は読書。調べると吉田類の著書は結構沢山あるらしい。でも出来るだけ新しいモノから読み始めるのがいいのだ と思って手近(TSK)で手に入る本から選んだのが本書だった。(先に読んだ『吉田類の散歩酒』はいわゆる観光ガイドブックの体なので除いておくw) 2025/03/28
tetsubun1000mg
11
1年半前に読んでいたのに40ページまで気が付かなかった。 稲田堤の河川敷にある茶店「たぬきや」の閉店の話でようやく既読に気が付く始末。 しかし、TV番組「吉田類の酒場放浪記」のおおらかでお店の常連客とすぐ馴染んでしまう印象とは違うようだ。 山登りが趣味で、実はマッチョマン。 自称、癇癪持ちで潔癖症ぎみで、一つの土地に落ち着かず引っ越しをよくするなどが分かるのもエッセイらしい。 書く章には時々ファンタジーの要素が入ってくるのだが、自然な書き方なので楽しめる。2022/03/30
tetsubun1000mg
8
BS番組で時々見ていた「吉田類の酒場放浪記」の類さんの本だと選ぶ。 番組と同じような内容を期待していたが、酒場案内は舞台設定程度の扱い。 吉田類さんの年齢も知らず酒場案内の番組や本を出すのが本業だろうと思っていました。 学生時代に良い美術の先生に出会い、画家を目指してフランスに渡るが、やがて日本に戻りイラストレーターなどの仕事を始めたそう。 BS番組で時々俳句をひねっておられるが、文章も仕事などで訪問先での風景や詩や俳句、人物を題材にして文学的な印象。 趣味は登山と見た目の印象とはかなり違うようだ。 2020/10/17