内容説明
国土を不法占拠する「元国民」=地縛霊を立ち退かせる幽冥推進課の職員として働く夕霞。今回、出張先の気仙沼で出会ったのは、東日本大震災による津波で引き裂かれた親子が抱え続ける悲痛な想いだった。被災地の傷の深さと問題の大きさに怖気づく夕霞だが……。一方、秋田にある夕霞の実家では思わぬ事件が発生して!? 個性的な妹＆母親も登場する、笑えて泣けるあやかし公務員小説第５弾！
目次
一章 いつまでも心配しなくていいんだよ
二章 夕霞の里帰り
三章 夕霞の里帰り 延長戦
幕間
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
112
今回は、東日本大震災による津波で引き裂かれた親子の悲痛な思い、夕霞の秋田の実家にいる祖母の地縛霊、山間部のバス停に現れる幽霊バスの3つの連作短編。震災の津波の話は同じような状況を経験した人もたくさんいたはずであることを考えると胸が痛くなり、涙なしには読めない。夕霞が帰郷して実家の母と妹が登場するがユニーク過ぎて笑える。今回で完結かなと覚悟していたが、続きがありそうなのでほっとしながら読了。2020/12/08
はつばあば
56
5巻目、これが最終巻だと思い大事に温めてやっと読了。う～ん東北大震災の想いがずっしり刻まれた章でした。10年たってもあの時のニュースの映像が頭から離れません。生者と死者に引き裂かれた親子がメイン。そして夕霧さんの秋田のご実家の事や過疎になりつつある所在地・・幾つになっても親は親と思いますが、我が家と同じくユニークなご家庭でした(#^^#)。さて新宿には帰ってきましたが、なんとも情けない表情の辻神さんに・・夕霧はまた無職になるのだろうか。それにしても今の新入社員は大変ですね、奨学金の返済に年金の支払い・・。2021/02/24
ジンベエ親分
42
しまった刊行されてたのを忘れてて出遅れた(笑) さて前巻で幽冥推進課の存続の危機を匂わせながら、本巻はその話はなし。１巻持ち越すのはもはや常套手段か。さて今回は東日本大震災に絡んだ話が出てくるが、これはさすがにとてつもなくヘビー。さすがにこのエピソードでは火車とのふざけた掛け合いもほぼ影を潜めている。それとバランスを取るかのような夕霞の帰省編では、これまた奇天烈なキャラの母親と妹が話を引っ張る。全巻通して話が東北地方で進むため、辻神課長や百目鬼先輩があまり登場しないのは少し残念だが、安定の面白さ。2020/08/30
うまる
39
シリーズ5巻、東北出張編。1話目の東日本大震災絡みの案件は号泣でした。サバイバーズギルトという重いテーマですが、実直に元国民様と遺族に向き合う主人公がすごく良かったです。話のネタにする事をよく思わない人もいるかもしれませんが、腫れ物に触るような扱いをして何もしないより、現地では今でも何も終わっていないという現状を伝えるのは有意義な事だと思います。 後半は主人公の実家話。母も妹もなかなかのキャラで安定の面白い展開。今回も笑いあり涙ありの話を堪能させて貰いました。次回はもっと火車先輩の出番を！！2021/01/06
よっち
34
国土を不法占拠する「元国民」=地縛霊を立ち退かせる幽冥推進課の職員として働く夕霞。出張先の気仙沼で東日本大震災による津波で引き裂かれた親子が抱え続ける悲痛な想いに遭遇する第五弾。息子が心配で毎日決まった時間に鳴り続ける電話が届けた想い、秋田の実家で遭遇した祖母が遺した手紙、実家近くの幽霊バスの正体。気仙沼の震災の話にはなんか来るものがありましたけど、そこからの流れでの夏休み帰省で初登場した夕霞のお母さん・朝顔や妹の夜露は、個性的だけれどいい人でしたね。しかし幽冥推進課は一体どうなってしまうのか気になる…。2020/09/04
