中公文庫<br> 女の家

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中公文庫
女の家

  • 著者名:日影丈吉【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 中央公論新社(2020/09発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784122069374

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内容説明

東京銀座の裏通りにある妾宅で、折竹雪枝がガス中毒死した。事故か自殺か、それとも他殺か――。老練な刑事・小柴と老獪な女中・乃婦、二人の語りが交差し、炙り出される意想外の真相とは。陰影のある文体で人間心理を巧みに描き、澁澤龍彦、種村季弘らに愛された著者による代表作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

83
日影丈吉というとアンソロジーでデビュー作の「かむなぎうた」を読んだくらいでしたが中公文庫の最近の昭和初期作家の掘り起こしでこの作品が出たので読んでみました。銀座の妾宅で女主人が中毒死しその経緯をめぐり刑事と妾宅の女中のやり取りがあります。ミステリーというよりも当時の社会事情などがよくわかりました。谷崎潤一郎の作品を読んでいるような感じを味わいました。2022/07/31

タカギ

27
地味な話…。事件があるのかどうかも判然としない。会社社長の2号さんだった女性がガス中毒で死んだのだから、事件と言えば事件なのだろうけど。この2号さんの家周りのことを主に描いているのだが、全体的になんとなくしっくりこない違和感というか不自然さ、いびつさがあって不気味に感じる。この表紙も私は映画『リング』を連想してちょっと怖かった。自分の読解力に自信のない私はいつもは解説に頼るのだけど、今回は感想は人それぞれということで良しとした。2021/12/12

Ribes triste

15
昭和三十年代、銀座裏通りの妾宅で起きた、ガス中毒死。物語は事件を捜査する小柴刑事と、折竹家の女中 乃婦により語られる。ミステリの体裁ではあるけれど、乃婦の語りが、実に良い。昭和の時代の生活が生き生きと描かれ、日影さんの文章は、時に妖しく哀しく趣きがあり美しい。生きている限り、人の暮らしは続いていく。この本に描かれた風景は、今は存在しないけれど、生きていくことに対する想いは年をへても変わらないように思う。2020/10/01

qoop

6
本人死去後に複数視点から人物像を描き出す/解き明かすというミステリの手法を用いつつ、読み応えはミステリのそれではない。登場人物たちの意図しない、あるいは語られない思惑によって出来事の全体像は錯綜し、事件の輪郭を薄墨のように溶かしていく。明瞭な線でないからこそ描出できる人間のあり方を読ませられたよう。ラストに至る流れには人の業を乗り越えていくかのような趣すらある。情景描写の味わいと共に印象に残る一冊。2020/10/10

necoko19

2
★★★★ ミステリ部分はもちろん、乃婦と小柴の語りというか、思考の流れ方に惹かれた。そして生々しさもあり、幻想的でもあり、なんだか不気味だった。2021/07/10

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