国際関係理論と日本外交史 - 「分断」を乗り越えられるか

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国際関係理論と日本外交史 - 「分断」を乗り越えられるか

  • 著者名:大矢根聡編
  • 価格 ¥5,500(本体¥5,000)
  • 勁草書房(2020/10発売)
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  • ISBN:9784326302857

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内容説明

国際関係論は本当に進歩しているのだろうか。外交史研究では膨大な史料が公開されてきたが、それに溺れて分析の視点が不明確になりやすい。理論研究では方法論が洗練されてきたが、理論的革新が見られなくなった。そこで本書では、日本外交を舞台に歴史研究と理論研究の対話を試み、新たなフロンティアの開拓を試みる。

目次

はじめに

第I部 序論

第1章 国際関係理論と日本外交史──「分断」を乗り越えられるか[大矢根聡]
 1. 日本外交の実像?
 2. 日本外交の「能動性」と国際秩序理論の盲点?
 3. 歴史研究と理論研究,断絶の起源
 4. 歴史・理論対話の可能性
 5. 対話の相乗効果?
 6. 歴史と理論の相違
 7. 本書の方法と構成

第2章 理論・歴史対話の諸相──日本,アメリカ,ドイツ,フランス[大矢根聡,佐々木卓也,葛谷彩,宮下雄一郎]
 はじめに
 1. 日本における理論・歴史対話
 2. アメリカにおける理論・歴史対話
 3. ドイツにおける理論・歴史対話
 4. フランスにおける理論・歴史対話
 おわりに

第II部 理論の歴史的再検討

第3章 現状防衛の時空間──安全保障外交の歴史と理論[石田淳]
 はじめに──外交におけるシグナルの送受信
 1. 外交におけるリアリズム──現状防衛の意図のコミュニケーション
 2. 維持・回復するべき現状の領域的範囲についての認識
 3. 現状を維持・回復するための方法についての認識
 おわりに

第4章 日本のビルマ賠償をめぐる相互性──国際政治理論と戦後日本の経済協力外交の原点[福島啓之]
 はじめに
 1. 先行研究からの逸脱事例としての日本のビルマ賠償
 2. 相互性についての理論的考察
 3. 相互性の起動装置としての賠償
 4. 事例選択に関する方法論的検討
 5. 日本とビルマの賠償交渉の歴史事例分析
 6. 日本のビルマ賠償の内容
 7. 日本のビルマ賠償の実施とその意義
 8. 日本のビルマ賠償にみられる賠償の合意成立の条件
 おわりに

第5章 国連総会一般演説を通じた日本の情報発信の変遷と傾向の検討──テキスト分析によるアプローチ[多湖淳]
 はじめに
 1. コーパスデータと分析アプローチ
 2. 日本のアジェンダ・セッティング
 3. ディスカッション──ひとつの解釈
 資料

第6章 日本の対外政策決定のモデル化に向けて──「日常/非常時型モデル」の再検討[長久明日香]
 はじめに
 1. 日本独自の対外政策決定モデル形成への障害
 2. 「日常/非常時型モデル」の位置づけ
 3. 事例研究
 おわりに──「日常/非常時型モデル」の改訂

第7章 サミットにおける日本外交──異質な国の多国間協調[大矢根聡]
 はじめに
 1. 多国間協調の理論──主体の同質性と異質性
 2. 日本のサミット外交のパターン──「馴化」の3類型
 3. 政策協調への参画──第1パターン
 4. 対抗的政策協調への対応──第2パターン
 5. 政策協調における独自案──第3パターン
 おわりに

第III部 歴史の理論的分析

第8章 ジョージ・ケナンの現実主義と日米関係論──政策と理論の交差[佐々木卓也]
 はじめに──理論と歴史の対話
 1. ケナンの対日認識の形成
 2. ケナンと対日占領政策
 3. ケナンと朝鮮戦争
 4. ケナンとシカゴ大学講義
 おわりに

第9章 日米繊維紛争における政治過程の再検討──時間とアイディアを中心に[村井良太]
 はじめに
 1. 戦争のあとで──前史
 2. 問題の発端と第1の転形──大平正芳通産大臣の堅陣
 3. 全体経済への危機感と業界の自主規制──宮澤喜一通産大臣と紛争の拡大
ほか