「核の忘却」の終わり - 核兵器復権の時代

個数:1
紙書籍版価格
¥4,180
  • 電子書籍

「核の忘却」の終わり - 核兵器復権の時代

  • 著者名:秋山信将/高橋杉雄
  • 価格 ¥4,180(本体¥3,800)
  • 勁草書房(2020/10発売)
  • ポイント 38pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326302802

ファイル: /

内容説明

かつてオバマ前米国大統領は核廃絶を唱え、専門家の間でも「核の忘却」が語られた。しかし近年、核兵器は復権しつつある。しかも地域や相手によって異なる認識枠組みが必要だ。本書では米中ロや欧州・南アジアそれぞれの核戦略、サイバーセキュリティと核兵器、核兵器による「世界の分裂」、そして日本にとっての核抑止を論じる。

【動画】
笹川平和財団日米グループでは、2015-2017年度に実施した研究プロジェクトの議論を土台とした書籍「『核の忘却』の終わり―核兵器復権の時代」(勁草書房)の出版を記念し、執筆陣による本書の議論の紹介と共に米国から専門家を迎えてパネル講演会を開催いたしました。

パネル1:「核の忘却」の終わり‐核兵器復権の時代』紹介:0:00-1h05m
パネル2: 特別パネルディスカッション「核兵器を巡る国際安全保障環境の今」):1h05m-2h35m

登壇者等の詳細はhttps://www.spf.org/spfnews/information/20190822.htmlこちらのページでもご覧いただけます。

目次

はじめに

序章 「核の復権」の現実[高橋杉雄・秋山信将]
 1 核をめぐる二つの知的方向性
 2 核兵器の「復権」
 3 本書の論点

第1章 米国――核抑止戦略の再構築[高橋杉雄]
 はじめに
 1 冷戦期の核戦略をめぐる戦略的前提
 2 冷戦終結と核戦略をめぐる前提の変化
 3 プラハ演説から「核の復権」へ
 4 核兵器「復権」後の核戦略の課題
 おわりに

第2章 ロシア――ロシア版「エスカレーション抑止」戦略をめぐって[小泉悠]
 はじめに
 1 宣言政策と運用政策
 2 「非対称戦略」としてのロシアの核ドクトリン
 3 核戦力整備の実際
 おわりに

第3章 中国――「最小限抑止」から「確証報復」への転換[神保謙]
 はじめに――「非対称な均衡」の維持か脱却か
 1 中国の核戦力――「最小限抑止」から「確証報復」へ
 2 米中の核関係――暗黙の「戦略的安定性」の形成
 おわりに

第4章 NATO――「核の忘却」の終焉?[戸崎洋史]
 はじめに
 1 在欧戦術核撤去問題――1991~2012年
 2 対ロ抑止態勢の強化――2013~2016年
 3 トランプ政権とNATO――2017~2018年
 4 核態勢強化と脅威低減の課題
 おわりに

第5章 インド・パキスタン――「抑止のための兵器」の20年[栗田真広]
 はじめに
 1 パキスタンの核戦略・核態勢
 2 インドの核戦略・核態勢
 3 「核戦争遂行」との距離
 おわりに――抑止の安定性をめぐって

第6章 核管理とサイバーセキュリティ[土屋大洋]
 はじめに――サイバー戦場の霧
 1 サイバースペースと情報技術
 2 ハイブリッド戦争と戦略的安定性
 3 堅牢なシステムの追求

第7章 「秩序の兵器」としての核と分裂する世界[秋山信将]
 はじめに――核と国際政治を考えるための枠組み
 1 核兵器の存在を規定する要因
 2 「秩序の兵器」としての核
 3 核兵器をめぐる新たな国際環境
 4 核と道徳性――核をめぐる世界の分断
 おわりに

終章 日本――世界で最も厳しい安全保障環境下での核抑止[高橋杉雄]
 はじめに
 1 拡大抑止に関する日本の宣言政策
 2 北朝鮮に対する抑止
 3 中国
 おわりに

著者紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モリータ

12
◆2019年刊。編者の秋山信将氏は国際政治学・安全保障論が専門の一橋大教授。高橋杉雄氏は安全保障論・日米同盟が専門、防衛研究所室長(両者昨今のTwitter、TVでもおなじみ)。全9章、論者7名。◆本書は「核兵器の存在が国際システムの安定に貢献し続けられるかどうか」や「今後の国際社会における核のあり方」といった問いに向き合う前提として、「各国の核政策や地域安全保障の論理、新たな課題としての新たな技術(サイバー)のインパクトなどに関する分析と論考を提供するもの」(はじめに)。◆図書館で。2022/3/14

hurosinki

5
近年の安全保障環境の悪化から、核使用の可能性を真剣に考慮せざるを得ない状況になりつつある、と論じる。核のプレゼンスだけでは抑止に不十分で、実際に核戦争を遂行する態勢(損害限定能力含む)を構築しなければ抑止は達成しえない…という議論が各国で台頭している。この考えは核の役割を高め、核使用の敷居を下げうる一方、抑止の信頼性も高め、核使用の可能性を限定できる。2022/05/29

artillery203

2
「「核の忘却」の終わり」冷戦後から第一次トランプ政権くらいまでの、各国の核戦略について包括的に述べられている。「核兵器は実際に使用することを考えなければ抑止できない」「曖昧な抑止理論」等、現在の国際情勢を構成する一つの要素として、核兵器が重要な地位を占めていることがよくわかる。日本を取り巻く安全保障環境は、なおのことである。2025/03/29

お抹茶

2
ロシアの核使用が懸念される状況が続く。この本を読むと,それは歴史の帰着であり,決してプーチンの狂気で片づけられないのだと感じた。冷戦後に核軍縮・核廃絶論への支持が拡大し,「核の忘却」時代が到来したが,核拡散の進展と大国間関係の悪化に直面し,「核の復権」の時代が到来した。アジアは域内に中国と北朝鮮とロシアが存在し,核抑止力の観点で世界で最も複雑かつ厳しい環境。核戦略論が本当に核抑止に繋がるのか。少なくとも,核兵器反対だけを唱えて解決するほど甘くないことを実感する。2022/07/20

K.

1
核に関する広範な論点を網羅していて、特に中国や戦略的安定性に関して理解が深まり、個人的には『正しい核戦略』よりも勉強になった。地域レベルでの中国の通常戦力優位は、米国の限定的核使用へのインセンティブを高めるが、中国の戦域レベルの対兵力核攻撃能力の高精度化&ICBMやSLBMの多弾頭化・射程向上=相互脆弱性の出現によって、米国の核も封じられる⇒中国の第一撃アドバンテージ増大という安定・不安定逆説の構図と、中国のランチャーやNC3の「核常兼備」という危機安定性上のリスクは、日米にとっての深刻な問題に思えた。2023/06/16

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/14022103
  • ご注意事項

最近チェックした商品