内容説明
大拙は,禅宗ではなく禅を,真宗ではなく浄土そのものを,既成の宗派のドクマ,教義から自由な立場から論じることで,仏教,さらにはあらゆる宗教の根源にある霊性を追究,世界に紹介した.本書は,真宗門内だけでなく,広く一般読者に,浄土思想の世界を,東洋の独自の論理によって明らかにする.大拙の代表作の一つである(解説=木村宣彰).
目次
目次
極楽と娑婆
浄土観・名号・禅
上篇
下篇
浄土観続稿 『浄土論註』を読みて
他力の信心につきて 『教行信証』を読みて
我観浄土と名号
一 浄土論
二 名号論
解説 (木村宣彰)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
「無量寿経」では浄土と娑婆は彼岸と此岸の関係にはない。「浄土は阿弥陀仏の本願から起こって、彼が正覚を成じたときに完成した」からだ。著者は、この生きながら「正覚」を得る際の「信心」を「いただく」姿勢が、人間の能動受動を超えていることに注目する。禅は自力、真宗は他力とされるが、本書は「本願」にはその区別がないとして、禅者である著者の立場と浄土系思想の違いは、娑婆に「無」を「正覚」するやり方にあると捉える。こうして浄土系では「南無阿弥陀仏」の名号(仏の名を叫ぶ行為)は、意味世界としての娑婆を脱する鍵と解される。2021/02/11
amanon
2
その中身の半分も理解できたか正直心許ないが、著者の癖はないが、どことなく力強さを感じさせる文体に引き込まれて、何とか読了することができた。ただ、素人には理解しづらい専門用語が頻出しているのにも係わらず、注釈が一切ないというのはいかがなものか?その点をクリアーしていれば、もっと読みやすいものになっていたと思うのだが。それはともくとして、一般に禅研究者というイメージが強い著者が語る浄土教とはいかなるものか?という興味で手に取ったのだが、宗派の違いを超えた深いものを感じさせたのが、非常に印象的だった。2016/12/05
はちめ
0
読むには読んだが回りくどい。教行信証がそうであるように、論理だけで浄土を説明しようとするのは無理があるのではないか。信仰心なくして説明することはできないということで良いんじゃないだろうか。2017/07/31
釈聴音
0
しっかり理解できたか自信がないが、禅と浄土は意外と近いところにあるのだろうと考えた。折に触れて再読したい。2016/11/11
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