内容説明
1663年、チャールズ二世が復位を果たすも、いまだ動揺の続く英国。ヴェネツィア人の医学徒、亡き父の汚名を雪ごうと逸る学生、暗号解読の達人の幾何学教授、そして歴史学者の四人が綴る、オックスフォード大学で勃発した毒殺事件。事件の真相が語られたと思ったのもつかの間、別の人物が語る事件の様相は、まったく違うものになっていき……。相矛盾する記述、あえて隠された事実、そしてそれぞれの真実──。四部構成の稀代の歴史ミステリを、四人の最高の翻訳家が手掛ける、驚異の傑作がついに登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
123
下巻は第三・第四の手記から構成される。いずれも 信用ならない人物が語る手記から 何が見えてくるのだろうか…犯人とされた サラの 手記が見たい…クロムウェル時代の英国の 雰囲気を背景に 最後は読者サービスも入れ込んだ、そんな歴史ミステリーだった。 2021/01/27
Panzer Leader
74
三部に入るとまたまた不快なる人物が登場。偏見に満ちた語り口の物語を読むのは苦痛だが、四部になってやっとまともな人物の手記でパズルのピースが嵌っていく展開に。政治の陰謀劇のみならず宗教方面にも話が拡がるが、殺人事件の真相はそんなもん?とちょいと腑に落ちない。実在の人物もかなり登場しているらしく、巻末の人物解説・年表・訳者あとがき(ネタバレなし)を先に読んでおくと理解しやすいかも。読みにくい本書を脱落せず最後まで読み通した自分を誉めてあげたい。2021/07/25
k5
69
なかなか下巻は苦戦しました。信用できない語り手がどんどん登場するだけでなく、基本的に感情移入が難しい人ばかり、という。。。しかし、『藪の中』形式のミステリというのは本能的にわくわくさせられるんですよね。もう一周読んでもいいかも。2021/11/28
cinos
61
4つめの話で謎が解けて、最後まで読み進めてよかったです。ただ不思議な出来事がどこまで本当なのか気になりました。この作家の信頼できない記述者の他の作品も読んでみたくなりました。2020/12/06
オーウェン
55
上巻の2部でも感じたが、下巻の3部も読むのにかなり頭を使わせられる。 当時の歴史を知らないと概要が把握しづらいし、最後のオチもあれだったのかと途中で気付く有様。 「薔薇の名前」を引き合いに出していたが、読了するとさすがに持ち上げすぎたなと感じた。 一応ミステリではあるが、4部にほぼ集約される真相なので、2部と3部はもう少しカットしてくれたらより締まったのかも。 巻末の人物解説を先に読んでいた方が前情報が分かるので、そのあとに読んだほうがよかったのは残念なところ。2020/12/06