内容説明
泥沼の十五年戦争は、なぜ、どのように始まったのか? 端緒である1931年の満州事変と翌1932年の上海事変は、中国北洋軍閥間の争いの混乱に乗じた前者、民族的抵抗の形成を見た後者と、それぞれ異なる性格を有している。両者について経緯を詳述し、さらに5年後の盧溝橋事件による全面戦争展開へつながる時代の流れを示す。その時内閣は、軍部は、日本の世論は、列国や国際連盟の反応は、両国各部隊の進路は――? イデオロギーを排し、史実のみを丹念に追うことで中国侵略の発端の全貌を明らかにする、近代史研究における古典的名著。(原本:中公新書、1974年刊)
目次
1 緊迫する中国東北地方
プロローグ――共産軍の長沙占領
満鉄包囲網の形成
国民党と関東軍
万宝山事件および中村大尉殺害事件
2 陰謀をめぐって
九・一八事件
東京――若槻内閣
張学良と蒋介石
列国の反応
3 拡大する戦火
錦州爆撃
十三対一――期限付撤兵
天津事件とチチハル攻略
幣原外交の終焉
スチムソン・ドクトリン――不承認方針
4 新しい戦争
上海
一・二八――陸軍の上海派兵
注視する列国
中国軍の抵抗――上海戦の終結
エピローグ――玉と鏡と剣
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
刳森伸一
6
講談社学術文庫の中では、ハードな部類に入る本だと思う。題名の通り、満州事変について書かれた本だが、特に満州事変に至るまでの経緯を概観することもなく、蔣介石による北伐が一応の成果をみると云々といった感じで唐突に始まるし、記載も微細な軍の行動や会議の参加者にまで至るので、いささか面を食らってしまう。読み進めていると、その記述スタイルにも慣れてはくるけれど、もう少し全体像を提示する工夫があってもよかったのではなかろうか。2020/11/19
伊達者
0
原本は1974年の中公新書とのこと。国際連盟やアメリカ、中国軍の動向にも詳しく触れていていて事件の経緯が良く分かった。それにしても関東軍の暴走ぶりはすごいもの。政府、陸軍省、参謀本部が良いように振り回されている。統帥権を盾に政府と別物の組織が国を動かしていた様が良く分かる。2023/08/22
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