マーシャル・プラン――新世界秩序の誕生

個数:1
紙書籍版価格
¥5,940
  • 電子書籍
  • Reader

マーシャル・プラン――新世界秩序の誕生

  • ISBN:9784622089063

ファイル: /

内容説明

「最高の研究」ケネディ。「外交、経済、大戦略を鋭敏に把握。ポスト冷戦時代を理解する新標準」ギャディス。新資料を渉猟した決定版。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ばたやん@かみがた

83
驚天動地。WW2で疲弊のどん底に落とし入れられた西欧諸国を奇跡の回復に導いたとするマーシャルプランについて、「実際の成長回復に与えた影響は微々たるもの、各国の経済政策も割に自由であった。」とするのですから。代わりに著者が提示する同プランの性格とは「NATOと並ぶ西側の安全保障政策の二本柱」と言うものです。それを証し立てるため、欧州各国の当時の政局、実態を生々しく描写していく所から始めます。(1/5)2020/12/26

Willie the Wildcat

79
トルーマン/マーシャルのFront-endと、ヴァンデンバーグ/クレイトンのBack-end。醍醐味は、ホフマン/クレイ他の実行部隊なれど、スターリンの老獪さにしてやられる過程が印象的。外交音痴を自認するトルーマンの功罪とも映る。諜報活動を含めた、各種神経戦も見どころ。そんな中で、”象”ヴァンデンバーグが、”驢馬”を支持する件は記憶に残る場面。”時代”だけで、簡単に片付けたくない政治の本質という気もする。『付録C』で垣間見る受益”格差”に、現代にもつながる地政学が重なる。期待通り読み応えのある一冊。2021/05/06

BLACK無糖好き

20
原著は2018年刊。「欧州復興計画」としてのマーシャル・プラン成立過程とその効果。さらにNATOをめぐる欧米とソ連/ロシアの確執まで筆が及ぶ。アメリカ、ロシア、ドイツ、チェコの情報源から新しい資料を入手したようで、関係各国の思惑や関係者の思考などが詳細に再現され、濃密なストーリー展開が味わえる。◇マーシャル・プランによる支援の受益国のマクロ経済指標も細かく分析されている反面、東側のコメコンについては、たった8行の記述でバッサリ切り捨てている。このあたり著者の思い切りの良さも感じられる。2021/06/07

MUNEKAZ

14
アメリカによる欧州援助計画マーシャル・プラン。平和的な装いながら、ベルリン封鎖を惹起し、東西冷戦を決定づけた一連の動きを追う。全体として米側の賢明さを強調しつつも、疑心暗鬼に囚われるソ連、ドイツ統一を警戒する英仏、そして占領からの脱却を目指す西ドイツと各アクターの動きが克明に描かれる。外交経験のないトルーマン大統領だったからこそ、マーシャルら有能な人材に交渉を委ね、計画を成功に導けたのだろうか。冷戦終結後もこのプランから派生したNATOとEUの東方拡大が、ロシアの警戒感を煽り続けている指摘が重たい。2020/10/22

人生ゴルディアス

7
マーシャルプランでお金をもらったことにより欧州(と日本)は無事復興しました、めでたしめでたし、くらいの説明しか授業では受けていなかったので、こんなに入り組んでいたことなのか、と面白かった。あと、ソビエトが邪悪なのはもちろんだけど、ドイツを憎んだり怖れたりする言い分がわからなくもないから、西側と決裂していく過程は気の毒でもある(国民が)。最初は経済支援だったけど結局軍事の後ろ盾が必要になってNATO結成とかも、スターリンは正しく予想していた。スペインが蚊帳の外だったのは意外。大変面白い本でした。2020/10/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/16158469
  • ご注意事項