講談社文庫<br> 汚名(上)

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講談社文庫
汚名(上)

  • ISBN:9784065169520

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内容説明

SFPD(サンフェルナンド市警)の予備刑事(reserve officer)として、自発的に未解決事件捜査にあたっているハリー・ボッシュのもとを、昔のパートナーだったロス市警本部強盗殺人課未解決事件班刑事のルシア・ソトが現在パートナーを組んでいるボブ・タプスコットとロス検事局のアレックス・ケネディ検事補とともに訪れ、ボッシュが三十年ほど前に逮捕し、現在も死刑囚として服役中の連続殺人犯プレストン・ボーダーズに関して、あらたな証拠が出たとして、再審がひらかれる見込みだと聞かされる。残された証拠を調べ直したところ、すでに死亡している別の死刑囚ルーカス・ジョン・オルマー(連続婦女暴行殺人犯)のDNAが被害者の着衣に精液の形で付着していたことが科学的に立証されたという。事件発生当時、DNAは、犯罪捜査の証拠として認められていなかった。証拠保管庫に収められた被害者の着衣の入っている当該事件の証拠保管箱をソトとタプスコットが開封する様子は、ビデオに録画されており、そこに問題はまるで無いように思えた。
 ボーダーズの弁護士ランス・クローニンの主張は、被害者の着衣に別人のDNAが付着している以上、ボーダーズ逮捕の決定的な物証(ボーダーズの住居で見つかった被害者のペンダント)は、事件担当の捜査官(ボッシュと彼のパートナー)が仕込んだものだ、というものだった。ロス市警と喧嘩別れしたいきさつから、ロス市警と検事局のボッシュに対する心証はことのほか悪く、証拠を捏造した悪徳警官としてボッシュに責任をかぶせようという気が満々だった。おのれの信用が地に落とされる危機に際し、リンカーン弁護士ミッキー・ハラーにボッシュは相談し、ミッキーの導師であるリーガル・シーゲルの智慧を借りることになる。
 一方、サンフェルナンド市警の管轄で、薬局を経営する父親と息子が薬局内で銃殺されるという事件が発生し、小規模共同体の警察としては、手が足りず、ボッシュも捜査に狩りだされる。捜査を進めるなかで、この事件が、薬局を舞台にしたオキシコドン(半合成麻薬)不正請求にまつわるものであることが判明する。すなわち、身内に引き込んだ医師に鎮痛剤でもあるオキシコドンの処方箋を書かせ、患者を装った出し子たちに薬局で大量に入手させ(料金は医療保険Medicareでカバーされる)、それを売りさばいて大金をせしめている犯罪者集団がいた。薬局の父親は、永年その片棒を担がされていたのだが、息子がその不正に気づき、手を引こうとして、犯罪者集団に処刑されたのだった。犯罪者集団のアジトを突き止め、親玉を逮捕する証拠を手に入れるため、ボッシュは、潜入捜査に赴く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

148
いつの間にボッシュシリーズはディック・フランシスの競馬シリーズのような題名をつけるようになったのだろうか。原題は“Two Kinds Of Truth”と実にかけ離れた邦題である。これは作中に出てくる2種類の真実を意味する。こうやって考えるとやはり本書の題名は原題に即してせめて『それぞれの真実』とか『真実の別の顔』とかにならなかったのだろうか。まあ、後者はシドニー・シェルダンの小説の題名みたいだが。しかし今まで古今東西の薬物事件を読んできたが、とうとうアメリカはここまで来たかという思いを抱いた。2021/04/03

ケイ

136
2年ぶりのコナリー。2年ぶりのボッシュ。異母弟もまた一緒。というか、過去の登場人物たちが勢揃いしてきたもよう。冒頭からボッシュはいきなりピンチに。随分と危ない橋を渡ってきたから、私も疑ってしまったよ。数年前に、処方箋を使った新しいマフィアについて本を読んだ。オンラインを使った新しい犯罪。これをコナリーは持ってきたんだね。いつもUptodateなコナリーはさすが。2021/09/20

のぶ

93
マイクル・コナリーの本は全作読んでいるが、本作もまだ上巻を読む限りだが、やはり面白い。ボッシュの立場は前作同様、サンフェルナンド市警に嘱託刑事。30年程前に逮捕し、服役中の死刑囚に対して、新たな証拠が出たとして、再審が開かれる見込みだと聞かされる。その事件の証拠捏造を疑われながら、管内で発生しした薬剤師親子の殺人事件を追うボッシュ。昔からのメンバーやハラー弁護士も物語に絡み、懐かしさも感じさせられる。60代半ばを過ぎているボッシュの活躍がたまらない。下巻でどんな展開が待っているのか?感想はその後に。2020/09/09

パトラッシュ

70
第一作でハリー・ボッシュのパートナーだったジェリー刑事が28年目にして再登場とは。その間ボッシュは心身とも傷だらけになりながら容疑者を追い続け、ロス市警に見捨てられても刑事であり続けた。純血種の刑事といえるボッシュの、どれだけ追い詰められても決してあきらめない姿に魅了されてしまう。今作でも有罪証拠を捏造した疑惑をかけられながら薬物密売組織への潜入捜査をこなすなど、65歳とは思えぬタフさに感嘆する。大統領は何人にも変わったが、老いても犯罪と戦い続けるボッシュこそミステリ界のアメリカンヒーローなのだ。(続く)2020/09/19

chiseiok

55
いくら新作出しても全然クォリティ落ちないコナリーやばいです😅。今回もコールドケースとホットケース(って言う?w)の二本立て、予備警察官の立場を超えて大忙しボッシュ。冷えピタ差し入れたくなるほどの緻密な資料精査と推理が導く劇的ブレイクスルー、この緩急たまらんです。頼れる異母弟ミッキーやお久しぶりのシスコ、さらにお久しぶりのエドガーと、脇の固めも万全、シリーズならではの楽しさですなぁ。ラストは還暦でそこまでやっちゃって大丈夫かボッシュ!と、絶妙のヒキです。油断してドラマ版“BOSCH”観なきゃ良かった〜笑。2020/08/22

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