内容説明
長かった一学期も無事に終わり、夏休みを迎えた叶羽たち。一つ、二つと白紙だった予定が埋まっていく中、ある夜、叶羽は後輩の高峰瑠璃と出会う。
幼い頃に別れた父親と再会するため家出を決意した瑠璃に叶羽も一緒についていくことにするが、訪れた遊園地で彼女の姿が幼くなってしまい――!?
「あなたはだあれ?」
“本当の父親”に会いたいと願う瑠璃と、父親との確執を未だ抱え続けている叶羽。
長い長い旅路の果てに二人が辿り着いた答えとは――。
一年に一度、願いが叶う町を舞台に繰り広げられる彼と“彼女たち”の甘酸っぱい青春ストーリー、シリーズ第3弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
36
夏休みを迎えた叶羽たち。ある夜、家出を決意した後輩の高峰瑠璃と出会った叶羽が行動を共にする第三弾。思い出の地を巡るたびに過去を思い出し、姿が幼くなってゆく瑠璃。本当の父親に会いたいと願う瑠璃と、父親との確執を未だ抱える叶羽が長い旅路の果てに辿り着いた答え。後輩の窮地にそっと寄り添えるのが彼らしいですけど、繊細な心理描写の積み重ねやはっとするような素顔を垣間見せてくれるヒロインが、試練を乗り越えて笑顔を取り戻す展開にはぐっと来るものがありますね。彼女たちとの距離感も絶妙で続巻読めるのを楽しみに待っています。2020/08/09
芳樹
34
夏休みのある夜、叶羽は後輩の高峰瑠璃と出会った。家出をするという瑠璃に対し、一緒について行くと告げる叶翔。それはミラクーティアの奇跡に導かれた、瑠璃の思いを叶える旅の始まりだった…。ひと夏の二人の旅行は『家族の絆』を結ぶ旅となる、そんな第3巻でした。葉月先生の瑞々しい筆致で描かれてきた青春ストーリーですが、残念なことにここで第一部終了とのこと。いつか第二部に出会えることをミラクーティアに祈りながら、葉月先生の次の作品も楽しみにしています。 2020/08/17
真白優樹
14
夏休み、本当の父親に会いたいという瑠璃に付き合い家出する中、道中の遊園地で瑠璃が突然幼児になってしまう今巻。―――はぐれ彷徨う幼い星、放浪の果てに何を見る? 試練はいつもすぐ側に。瑠璃と叶羽、父親に想う所を抱えた似た者同士な二人が親と向き合い、自分の心と向き合う巻であり、青春の周り道と言わんばかりに戸惑い悩み進む、不思議な青春が更に切なさと温かさを増し面白くなる巻である。これからも進む、少しずつ変わりながら。ここで終わるのは寂しい限り、是非最後まで彼等の旅を読みたい。 この先もいつか読める事を、切に願う。2020/08/14
リク@ぼっち党員
12
待ちに待った続刊。半ば諦めていたので、続きが読めたのがとても嬉しい。そしてその反動が…。今回は後輩の中で最も掴めない瑠璃のお話。いつも余裕そうな立ち回りをしてるけど、時折見せる年相応な部分や弱い部分のギャップが魅力的。というか"Twilight"は全員後輩好きの心をくすぐってくるなぁ。素晴らしい。過去を悔やみすぎて今に目が向けられないというのは確かにあることだと思う。旅の中で瑠璃の気づきとともに叶羽の成長にも繋げ、そこに芽生える淡い気持ち。必然性のあるとても素敵な物語だった。いつまででも続きを待っている。2020/08/08
ぶなぶな
8
叶羽が家出をしようとしていた瑠璃と遭遇し、その旅に同行する第3巻。葉月先生は夏の描写もやはり素晴らしい。その空気感や匂いや色を存分に堪能できた。今回は幼い頃に血の繋がらない父親が出来た少女の話。"本物の父"に会いたいという願い。過去を辿る様な旅路の中で気付かされるその本当の意味。遠回りかもしれなくても、これは彼女にとって大切で必要な道程だっただろう。そして初めて、おかえりと出迎えてくれる人のことをお父さんと呼ぶ。温かい光景だった。家族の温かさが染み入る素敵な物語だ。続きが読める日をいつまでも待っている。2020/08/26