内容説明
現代の奇書か、アンチミステリーか、唾棄すべきダメミスか?
〈新変格探偵小説〉の旗を高々と掲げた瞠目のデビュー作
R大学史学科のホーエンハイム教授は自らの退官記念にゼミ生たちを軽井沢近郊の狗神窪にある邸宅に招待した。
だが、豪雪に降り込められた邸宅の中で、使用人のフリッツが惨殺されたのを皮切りに次々と殺人が。
心理学を専攻する学生・夷戸武比古(いどたけひこ)は謎を解明するため、必死の探索を始めるが……。
典型的な「吹雪の山荘」シチュエーションで進む物語が、やがて奇怪な歪みを孕み始め二転三転、ついに驚愕のフィナーレへ。
本格ミステリとホラーの2つの要素を巧みに操り、謎と恐怖のタペストリーを描いたデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
74
雪に閉ざされた山荘を舞台とするクローズドサークル。因縁のある建物にナチや魔女狩りの影等、事件を彩るものも雰囲気十分で大満足。と思いきやある一点を境に思いもよらぬ動きを見せ始める。途中何度も大丈夫か、これ。と思ったが、無事着地させる著者の力量は大したもの。密室のトリック自体は腰砕けだけど。ただ明らかに三大奇書、特に『黒死館殺人事件』を下敷きにしているが、そこについては失敗してるかなあ。あの本の魅力はあの呪言的な文体があってこそ、普通にやると単に知識の羅列にしか思えないなあ。選ばれてる知識自体は好きだけど。2022/10/10
koma-inu
46
序盤は雪山クローズドサークル、密室と、ド新本格で、普通に面白い〜と読んでましたが、中盤から一気に別世界に放り投げられた展開に笑 うん、要するにメタミステリなんだな、と気づいてからは、また安心して読めました。三代奇書へのリスペクトがヒントだったのでしょう。積木さんら国内某作品達に比べると分かりやすく、ラストも受け入れやすい内容と感じました(大きくは同じメタですが)。密室トリック、○○誤認トリックはオマケのように扱われているのも豪華です。作者別作品「弔い月の下にて」が楽しみです。2022/07/30
雪紫
39
ミステリ愛読者の諸君よ、「葉桜」と「イニシエ」の次はこれを読め! (帯の省略した概要)プロローグでクラニー的な感じを出しつつ、引き合いにしたノリからアンチミステリに挑むと思いきや13章から思わず前を確認したくなる展開になり、なんだこれ?と感じたまま殺人解決後の結末へ。・・・いや、これは「イニシエ」前の乾さんや積木鏡介さんを始めとしたキワモノや色物ミステリ好きな人向けやろこれ(後クラニーの初期の某作品)! 最終的な構造と余韻はわたし好みだけど。2020/08/10
うまる
38
こ、これは平成の奇書じゃないか?! 変格ものも好きなので、わたしはこれ好きだなぁ。クローズドサークルに、これでもかというほど魔女や心理学など怪しげな不陰気を纏った知識を盛り込んでいるのも楽しかったです。古典的な心理学的探偵小説のオマージュという通り、乱歩の怪奇的要素や 夢野久作の読者がグルグルする感じが出ていたと思います。とんでもだけどちゃんと答えが出ているのは、昔の幻想怪奇と比べたら親切設計じゃないでしょうか。内容的には地面を突く理由が一番面白かったです。2・3作目はどうなるんだか凄く楽しみ。2022/03/18
そのぼん
24
おぉ、こう来るか・・・。四人の大学生たちが軽井沢の大学教授の邸宅を訪れ、とある事件にまきこまれていきました。真冬の雪が降る場所にある大邸宅の中で巻き起こる話だったので、王道的ミステリーとなっていくのかと思いましたが、全く予想できない方向に向かいました。驚愕のラスト、しかと味わいました。2012/11/13
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