内容説明
孤独な少年と、行き詰まった洋菓子店の老職人が過ごす不思議な一夜。流星が降る時、二人が見た人生の哀しみと希望の真実。1970年代の神戸・芦屋を舞台に、心傷ついた人々がそれでも生きる意味を見つける一夜の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
106
これはお勧め。お菓子を万引きした少年と洋菓子店の店主が給水塔のてっぺんで一夜を過ごすときに、信じられないことが起こる。社会の中で行き場を失っている2人に救いがもたらされる結末は感動的だ。ドリアン助川さん(=明川哲也)は物語の力と人間を信じているのだろう。その純粋な想いが、関西弁を使った熱い文体から伝わってくる小説だった。2014/06/09
chimako
86
万引きでしかじぶんの居場所を確保できないルトリ。今日も町のケーキ屋《星の輪っか》でクッキーとパイを盗んだ。欲を出してホールのクログフに手を伸ばしたとたん店主サジに腕を捕まれた。逃げた、逃げた。山まで逃げた。そして今廃墟の給水塔に二人して取り残された。サジが上った時に錆びた梯子が壊れたから。寒い。暗い。やがて夜は更け流れ星が降ってきた。サジの話。ルトリの話。大人の話。子どもの話。本当の話。ウソの話。サジは深くて大きな大人。戦争から帰ったら何も残っていなかった。それでも生きた。駄目な大人はどうしようもない。2016/11/09
そら
63
絵本のような物語だった。1970年代昭和の時代に、裕福ではない暮らしをしながら心に傷を持つ少年と、寂れた洋菓子店を営む街の嫌われものの老店主サジ。万引きを繰り返すトリル少年を追いかけ古い鉄塔に登った2人に起こった一夜の物語。ひとつを失って、ひとつを得る。この星の下で生きていくものたちのルールだというメッセージが心に残った。すべてを手に入れなくても、大切なものは両手に持てるだけで十分だよね。2022/01/23
よこたん
56
“目に見えるもんだけをほんまやと思っとうやつは、ものの表面しかわからへんねん” 全面神戸弁で描かれた世界。学生時代の友達の言葉でちょくちょく「知っとう」を耳にしたことを懐しく思い出す。大阪弁と似ていても明らかに違う匂いを持つ言葉が、心地よく響く。昭和の頃でも、神戸は海側と山側で趣きも生活も違っていたんだな。生きていくなかで、どうしようもできない抗えないことはある。そのしんどさ、不条理さに悶々とするのは自分だけではなかった。不運な巡り合わせがきっかけで、老人と少年は星空を仰ぎ見ながら、とつとつと語り合う。2021/05/16
はる
53
洋菓子店の老主人と、学校に行けなくなって万引きを繰り返す少年。共に生き方が不器用で社会から取り残されたような二人だが、ちょっとした事故から寂れた給水塔の屋上で一夜を過ごすことに。同じ悲しみを抱える老人と少年の二人の切ない友情。濃い関西弁の語り口が物語の痛みと温かさを盛り上げる。終盤の二人の傷ついた心を救済するかのような流星の美しい描写が秀逸。希望を感じさせるラストにホッと息をついた。2017/04/11
-
- 電子書籍
- 真夜中のたずねびと(新潮文庫) 新潮文庫
-
- 電子書籍
- 美人力PLUSシリーズ 脚を動かすだけ…
-
- 電子書籍
- 宮崎湧 ファースト写真集 『 なのっく…
-
- 電子書籍
- 【合本版1-2巻】とある英雄達の最終兵…