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内容説明
最盛期には800万人を超える兵力を動員し、とてつもない額の戦費を使い、国力を限界まで傾け、持てる人的資源、物的資源を注ぎ込む――。太平洋戦争は日本にとって、文字通りの“総力戦”になった。昭和16年12月8日の真珠湾攻撃、マレー上陸作戦から、昭和20年9月2日の戦艦ミズーリ甲板上での降伏文章調印まで、3年9ヵ月にわたってつづいたこの戦争で、日本は多くの人命を失っただけでなく、多くの財産を無に帰し、官民の在外資産、海外領土を喪失した。はたしてその損失はどれほどのものだったのか。また、戦後に国際社会に復帰するためにどれほどの賠償をおこなったのか。太平洋戦争を戦費・損失・賠償など、金銭面から解剖。かつてない戦争の姿が見えてくる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
29
確かにハル・ノートの内容を、交渉可能としてポジティブに受け止めていれば、日本はもっと違う国になったかもしれない。滅茶苦茶な事に太平洋戦争末期にはGDPの60%が軍事費だったそう(ちなみに現在の防衛費は1%)。旧植民地の移民が資産を残して本国へ避難したことも合わせると、年間の国家予算の何十倍が失われ、「内地」のインフラも空襲でズタズタ、戦後保障も未だに残っている。それでも、シビリアン・コントロールが無い戦前の体制のままこの国が続いていたらと思うと怖い。調子にのっていたのは軍部だけでは無いのだから。2021/08/17
Cinejazz
12
日中戦争から太平洋戦争終結までの8年間の軍事費総額は7559億円だったという(東京の家屋1軒当り4~5000円、GDPのほぼ2倍、戦争末期にはGDP比約60%)。陸軍九七式戦車1両が約18万円(装備品込み)、零戦1機が約5万円(10700機生産)、戦艦大和・武蔵の建造費は1隻あたり1億3780万円など数字の羅列を見ても、物価の時代感覚に戸惑う。戦後75年を経過した現在、終わらない償いに過去の戦争の収支決算が打てないまま、ウイルスとの戦いで新たに巨額の負債を背負い込むこととなった。乗り切る他に術はない。 2021/05/31
天婦羅★三杯酢
4
このタイトルから、本当に大蔵省なり何なりが出した臨時軍事費特別会計の決算報告書を分析するものかと思って購入、したのだが。 残念ながら、ある種の「負ける戦争起こすなよ」史観から「あれが失われた、これも本当なら日本の物だったのに取られた。従軍慰安婦・徴用工問題も結局は日本が負けたから」という感じで数字を書き連ねていくという感じのもので、もし私と同じような気持ちで入手しようと思うなら「落胆するから止めときましょう」という感想。もちろん、本書に意味が無いわけではない。戦艦から小銃の弾1発まで値段がある事の確認2020/08/31
くらーく
3
金銭面ねえ。お金の事を考えたら戦争するなんてねえ。金持ち喧嘩せずが真理でしょうな。 当時の資料を提示して論が進むので分かりやすいです。数字があると分かりやすいなあ、本当に。 それにしても、どうしてこんな貧しい国がアメリカを相手にすることを決めたのか、本当に不思議でしかない。戦争を決めた人に問いたい。数字の比較も出来ないのか?と。 また、敗戦国の惨めな事よのお。WW1の賠償金をドイツが払い終えたのが2010年だって。日本の外国に対する賠償金やODA、国内の恩給。。。一体どれだけ使ったのやら。(兆単位だもの)2020/09/12
ronny
2
副題が「戦費・損失・賠償から見た太平洋戦争」とあるように、戦争に注ぎ込まれた又は失われたお金について、残された資料等でわかる範囲で1円単位まで金額で表されているのが本書の特徴で、よくもまあこれだけお金を注ぎ込んだものだなあと、圧倒されますね。同時に敗戦によって失われたものの大きさもまた、筆舌に尽くし難いと言いますか。戦争なんてするもんじゃないなと、改めて思わされます。2021/08/29