内容説明
『坊っちゃん』の教師たちやマドンナの正体を探り、『吾輩は猫である』の主要登場人物のみならず千駄木界隈の住人を推察、『三四郎』の美彌子とマドンナを比較しつつ漱石のヒロイン像を論じる――歴史研究家がその分析手法を活かして人物や景観から時代背景までを考証する、知的興奮にみちた漱石文学論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kaoru Nohara
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高校の卒論のテーマを「漱石の恋」として、小説に出て来るヒロインは奥様ではなく同じ女性をモチーフにしているという仮説を立ててある人物にたどり着く、という内容で書いたので、こんなに多くの人々がこのテーマに取り組んでいたとは驚きました。著者の考察もありますが、多くの説が取り上げられていて、面白く読めました。この本を踏まえてもう一回作品を読み直すとまた違った面白さがあるかもしれません。2013/04/21
Fumihiko Kimura
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一般には「昭和史の謎を追う」のイメージが強い秦氏、おそらく丹念に関係書籍を渉猟され、調査された結果の一書であろうが、文章自体は学者論文の堅苦しさが一切なく、何やら漱石にも通じる融通無碍な得難い文章。2013/01/29
Mie
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モデルとされていた人たちの来歴を色々と調べ、果たして本当にモデルといえるのかなどをまとめたもの。 本人(漱石もモデル候補も)が不在のため本当にそうかとは言えないけども、やっぱり色々な人の要素を掛け合わせてできているのだなあと。2022/07/24