内容説明
性と思想に切り裂かれる青春を、頑なまでに潔癖に生き、後年の著者の、厳しく深い文学と人生を予感させる青春像。昭和初期に青春を生きた知識人が不可避だった「思想」問題、それを自らに苛酷に課した著者の苦闘、家族への深い愛。時代と自分の良心を誠実・厳格に生きた、著者の青春自伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
牛
3
ずいぶん後ろ向きな小説だな、という印象ですが、有象無象に頓着せずに、ひたすら自分の思考を客観的に描き出そうとする作者の姿勢には頭が下がります。2014/03/02
ウイロウ
1
『田紳有楽・空気頭』のキテレツ具合に比べると、至極真っ当な自伝小説という印象。実際には昭和五年から八年までに体験した出来事を、作者は昭和五、六年の二年間の物語に凝縮して描き出す。己の過剰な性欲に対する嫌悪感と、〈プロレタリア文学=マルキシズム=左傾化した友〉へのコンプレックス。作風はまるで違うものの、時代の雰囲気は井上靖『北の海』あたりを想起させる(ちなみに藤枝と井上は同じ明治四十生まれ)。作中に登場する友人たちのモデルが平野謙や本多秋五であることを知って読むと、いっそう興味深い。2012/09/26
ぶらしゅうへい
0
退屈な小説だった。立ち位置がぶら〜っとしている。2017/11/29
URYY
0
「ふん、たった十五円で共産党気取りか」〔…〕寺沢は黙っていた。/「こオの野郎」 1969から1970年にかけての発表、なんですね。2017/09/14
HiRaNo
0
これとて「悲しいだけ」と言いたくなるよなエンドぢゃないか。2012/11/06